「糖尿病の恐ろしい末期とは?(前編)」では、糖尿病の治療を受け血糖をコントールしている患者さんである場合、糖尿病そのもので亡くなることはほとんどないとご説明致しました。
後編では、糖尿病だと気づいていない場合、また知りながらも治療を受けず放置した場合の合併症についてご紹介致します。 糖尿病 を放置すると最終的には 末期 状態を招いてしまいます。
糖尿病の恐ろしい末期とは?(後編)
やっぱり怖いのは合併症
糖尿病で怖いのは、長期間にわたって高血糖状態にさらされた血管が、ダメージを受けてボロボロになってしまうことです。
三大合併症と呼ばれている糖尿病性網膜症や糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害などについても、体中の細い血管が長期にわたってダメージを受け続けることが大きな要因になっています。
しかし、怖いのは三大合併症だけではありません。体中にある太い血管もダメージを受け続けることによって動脈硬化を起こしてしまい、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血などの命にかかわる重大な病気のリスクを高めてしまいます。
糖尿病の合併症が進んでしまうと?
では、糖尿病の合併症が実際に進んでしまったらどんな症状が出てくるのかということを考えてみましょう。
糖尿病性網膜症
目に入ってきた光や映像を映し出す網膜の血管がボロボロになってしまうために、出血したり様々な障害を起こしてしまう病気であり、視力の低下や視野の異状、最悪の場合失明に至ります。
糖尿病性腎症
腎臓で老廃物を排泄するのに重要な役割を果たしている糸球体は毛細血管のかたまりのような器官ですが、この毛細血管がボロボロになってしまうために腎臓が機能不全を起こしてしまいます。症状が進むと人工透析を受けなければ生命を維持することができなくなります。
糖尿病性神経障害
感覚が鈍くなってしまうために、足などに傷ができても気付かずに放置してしまい、感染が進むということが起こりやすくなります。血流も悪く免疫力が低下しているため治りが悪く、壊疽をおこして最悪の場合には切断せざるを得なくなります。
大血管障害
体中の太い血管も障害されて、血栓ができやすかったり、詰まりやすい状況が各所に起こってきます。ある日突然、心筋梗塞や脳梗塞で救急搬送されてしまい、命を失ったり、助かっても半身麻痺などということも起こりかねません。
末期の最悪なイメージ
参考に、糖尿病を放置して末期を迎えてしまった最悪なイメージの一例をご紹介しましょう。例えばこんな状況です。
「70歳の一人暮らしの男性で、週に3回ほど病院で人工透析を受けている。最近では目もほとんど見えなくなってきて、足の指も壊疽のため3本ほど無くて杖が無いと歩きにくい状態である。そしてある日、突然倒れて救急搬送され、気付けばベッドの上で右半身に感覚が無く、全く動かせない。その後、入院して治療をしていたが、足の壊疽が進んでいて、膝から下を切断するしかないと医師に宣告された。」
まさか、と思われるかもしれませんが、これに近い状態の患者さんも存在するというのが現実です。痛みなどの苦痛を伴う症状が無いからと、血糖のコントロールを軽視して糖尿病を長年放置してしまうと、最終的にこのような末期状態になってしまう可能性もあるということです。
そうなってしまってからでは遅すぎますので、気付いた今から治療を開始して、できるだけ長い期間、今の状態を維持するための取り組みが必要です。血糖のコントロールを生活の一部にして、糖尿病と長く付き合っていくことが賢明な選択と言えるのではないでしょうか。
まとめ
糖尿病の恐ろしい末期とは?(後編)
やっぱり怖いのは合併症
末期の最悪なイメージ