糖尿病がもたらす三大合併症の怖さ(前編)では、糖尿病の症状や診断を紹介しましたが、中編では 糖尿病 がもたらす 三大合併症 についてご説明します。今回は、糖尿病網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害の3つをご紹介します。
糖尿病がもたらす三大合併症の怖さ(中編)
糖尿病の三大合併症
このように糖尿病と診断され、適切な治療をしないで放っておくと、実は大変なことが待っています。それは怖い合併症があることです。合併症には急性なものと慢性のものがありますが、今回はその慢性的なものを紹介いたします。
糖尿病と診断され、高血糖状態を治療せずにそのままにしておくと、血管や神経に重大な影響を及ぼします。
始末が悪いのは、合併症の現れ方が潜在的で、気が付いた時にはかなり進行しており、日常生活を脅かすだけでなく、直接生命にかかわります。それ故、糖尿病をバカにしてはいけないのです。
糖尿病網膜症
糖尿病の障害は血管に出ます。その最たるものが三大合併症の一つである糖尿病網膜症です。
これは糖尿病に特有の毛細血管の病変で、眼球のなかの網膜に酸素や栄養を送っている毛細血管が、持続する高血糖の影響を受けて、一部に瘤を生じたり、出血を起こしたりして、血流がなくなってしまいます。
こうなるのは、糖尿病を発症してから7~10年経過した頃から見られるようになり、単純網膜症呼ばれています。そして、この段階で気が付き、血糖コントロールをしておけば、毛細血管溜や小さな出血班、出血班の吸収後にできる白斑などは消えて行きます。
ですが放置しておくと、単純網膜症から増殖網膜症に進行し、出血班が大きくなり、白斑も大型の綿模様になって出現します。こうなると、ものがかすんで見えたり、視野の中に目障りな影が見えたりするようになります。
これの怖いのは、障害を受けた毛細血管が酸素不足に陥ると、酸素不足を補うために新しい血管が増殖しますが、その血管は非常に弱く、大出血を起こすことがあります。網膜症による失明のほとんどはこの大出血か、増殖した線維による網膜剥離が原因になっています。
治療は増殖網膜症に移行する前にレーザー光線による光凝固療法行い、新生血管の増殖をおさえます。こうすることで、7割~8割は網膜症にならないで済みます。また、網膜剥離になった場合は硝子体メスを入れる手術を行い、線維素を除去します。そして、網膜をもとの位置に戻します。
糖尿病性腎症
次に紹介するのが糖尿病性腎症です。糖尿病を放置したままにすると、これも厄介な三大合併症の一つに糖尿病性腎症に罹患することです。
糖尿病を発症してから10年経過する頃に見られるようになります。この病気が大変なには、最悪の場合尿毒症になり、人工透析や腎移植が必要とされ、生活に大きく影響を及ぼすことです。
腎臓は毛細血管の集合体で、糸球体というころで身体の老廃物の排泄と、水、塩分、血液の酸性・アルカリ性のバランスの調節を行っています。その糸球体の毛細血管が障害される病気が糖尿病性腎症です。
糖尿病性腎症には特効薬はなく、食事療法と運動療法が中心になります。高血圧がある場合は、塩分制限と降圧剤を用いて血圧をコントロールします。
腎症の進行具合に応じて、たんぱく質の量制限やカロリー、運動負荷も状況によって変えます。ともかく、日常生活が著しく制限されるようになりますので、糖尿病の発症時点で厳格な治療が望まれます。
糖尿病性神経障害
糖尿病の三大合併症の最後の一つが糖尿病性神経障害で、この病気には、びまん性対称性神経障害、自立神経障害、単一性神経障害などがあります。
びまん性対称性神経障害
この病気は多発性神経障害と言われ、高血糖が持続することから、感覚神経や運動神経に多発性の障害が起きます。
しびれ感や針で刺されたような痛みが、手足の末端に起こる症状が続き、特徴的なのはその症状が夜間に出ることです。治療に際しては、対症療法と血糖のコントロールが大事になります。
後編ではさらに詳しくみてみましょう。
まとめ
糖尿病がもたらす三大合併症の怖さ(中編)
糖尿病の三大合併症
糖尿病網膜症
糖尿病性腎症
糖尿病性神経障害