「糖尿病の食事療法で食べてはいけないものについて(前編)」では、糖尿病診療ガイドラインについて、また食事療法についてお伝えいたしました。後編では、 糖尿病 を患う場合に 食べてはいけないもの や食事療法のポイントについてお伝えいたします。
糖尿病の食事療法で食べてはいけないものについて(後編)
食べてはいけない?食事療法のポイントについて
糖尿病だからといって、主食の炭水化物はダメ、大好きな麺類はダメ、油っぽいものもダメ、アルコールも禁止。そんなの、生きていくうえで一番大切な、おいしい食事という楽しみがなくなってしまいます。それは辛いことです。
そこで、糖質制限をしながら、かつカロリーもおさえて、でもきちんとバランスのとれた食事が可能になるのではないかという食事療法のポイントについてご説明します。
お米は白米と考える方も多いのですが、白米を減らして玄米や雑穀米を入れて炊飯したものをたべるのはいかがでしょうか。玄米は白米よりも食物繊維が多く含まれており、他のミネラルも豊富です。
全てを玄米にしてしまうと、胃腸の弱い方には内臓に負担がかかりますので、白米と一緒に炊飯して食べるという方法がよいでしょう。
また、小麦を使ったパンが好きな方は、ライ麦パンやフランスパンなどを選んでみるのも効果があります。ベーグルというパンや糖質制限パン、低糖質パン、ローカーボパンというような名称で売られているパンもあります。
朝は絶対にパンでなくては食べられないという方にも選択肢はあります。
砂糖など、特に白砂糖はよくありません。できるだけ制限する必要があります。ラカントとよばれる、とうもろこしから抽出される成分で作られた砂糖があります。
このラカントは血糖値の上昇を抑え、インスリンにも影響を及ぼさないということです。白砂糖の代わりに使ってみるのは大きなポイントです。糖質が多いのは飲み物にもいえることです。
スポーツドリンクや甘い炭酸飲料、砂糖の入ったコーヒー飲料などは控えめにして、緑茶、ウーロン茶や麦茶、水などに変える方がよいでしょう。
アルコールは選ぶことがポイントです。糖類を含まないお酒には、焼酎やジン、ウイスキー、ウォッカ、ブランデーなどがあります。最近では、糖質ゼロのビールや発泡酒、チューハイ、ワイン、日本酒、梅酒があります。
ですから、糖質制限であっても楽しめます。注意したいのは、糖類ゼロと糖質ゼロは違います。糖質ゼロがすべての糖類がゼロですので、こちらを選ぶ方がよいでしょう。
糖尿病の方が気を付けたほうが良い食事方法について
糖尿病の方はとくに、きちんと3食食べることが大切です。朝食はしっかりととり、夜は少なめにして寝る前には食べないようにすることが大切です。夜のメニューが多くなりがちだという意味で夜を少なめにするということです。
消化吸収には3時間くらいかかるので、食べてすぐに寝てしまうと翌朝の血糖値が上がる可能性があります。糖尿病のかたはインスリンの働きが悪いので、夕食はできる限り早めに食べるように気を付けて、寝る前の3時間は食べることを控えた方がよいです。
このことは、糖尿病のかたにはもちろんですが、糖尿病予備軍のかたにもいえることですので、注意をしてください。
また、食事は20分くらいかけてゆっくりと食べることも大切です。ゆっくりと食べる方が血糖値の上昇が抑えられますし、よく噛むことで満腹中枢が刺激され満腹感を得られます。早食いで大量に食べるのは控えましょう。
また、ご飯をたべるタイミングですが、野菜や汁物、魚、肉などを先に食べて、ご飯は後に食べる方が血糖値はあまり上がらないとわかっています。魚や肉を先に食べるとインクレチンという血糖値を低下させるホルモンが腸から分泌されるからです。
食べ方ひとつで、また工夫することで血糖値を自分でコントロールすることができるので、ぜひ試してみて下さい。
今回は糖尿病の食事療法で食べてはいけないものについてご説明しましたが、決して絶対に食べてはいけないと申しあげているのではありません。
できる限り減らせるものは減らし、代替品にできるものは変えてみる、また、食べ方なども工夫するなど、すこし工夫をすることで制限をうまく調整できるのではないかという提案でもあります。制限だらけの生活は辛いものです。
ですから、糖尿病と上手に付き合いながら充実した食生活も送って頂きたいと思います。
まとめ
糖尿病の食事療法で食べてはいけないものについて(後編)
食べてはいけない?食事療法のポイントについて
糖尿病の方が気を付けたほうが良い食事方法について