糖尿病といえば高血糖のはずですが、実は低血糖発作というのも糖尿病患者に特徴的な症状です。時には救急車で搬送されてしまうこともある低血糖発作は、重篤な場合には命の危険もある怖い症状です。
糖尿病 患者になぜ 低血糖 が生じるのか?そしてどのような危険があって、どう対応すればいいのかを知っておきましょう。
糖尿病と低血糖の関係とは?
糖尿病とインスリン
糖尿病が進むと、すい臓からインスリンが分泌されなくなってしまいますので、放っておくと高血糖の状態が続き、血管を中心として全身に様々な悪影響が起こってきます。そのため、重症の糖尿病患者に対しては、分泌されなくなったインスリンを自己注射で補うという治療を行います。
毎日決まった時間に決められた量のインスリンを自分で注射しますが、微調整のために自分で血糖値を計り、その数値によって必要な量を投与するという方法もとられています。
しかし、食事や活動状況によって大きく変化する血糖値に対して、常に適切な量のインスリンを自己注射で補うのは不可能と言ってもいいでしょう。
低血糖はなぜ起こる?
糖尿病なのに低血糖になってしまう理由は、血糖値を正常にするために投与したインスリンが効きすぎて、血糖値を必要以上に下げてしまうためです。
きちんと食事を摂って血糖値が上がった状態を想定してインスリンの量を計算していますので、食事量が少なかったり、運動しすぎて糖を消費してしまうと、インスリンの作用で必要以上に血糖値が下がってしまいます。特に以下のような状況では低血糖のリスクが高くなります。
- 食事を抜いた、又は量が少なかった。
- いつもより多く運動した。
- 間食を予定通り食べなかった。
- インスリンの効き目を高める効果のある薬を服用した。
- 飲酒をした。
こういった状況でいつもの量のインスリンを注射すると、血糖値が下がりすぎて低血糖状態になってしまいます。また、インスリンの量を間違えて多く打ってしまった場合にも低血糖になりますので注意が必要です。
飲酒で低血糖になるというのは意外かもしれませんが、アルコールを分解する時に肝臓で糖を消費しますので低血糖になることがあります。
低血糖になったときの症状
低血糖になったときの症状には、血糖値の下がる度合いによってさまざまなものがあります。個人差は当然ありますが、血糖値によって以下のような症状が現れます。
血糖値が70mg/dL以下になると自律神経による反応のため、発汗や動悸、震え、悪寒、不安感などの症状が現れます。
血糖値が50㎎/dL以下になると中枢神経にまで影響が及び、意識障害や眠気、めまい、疲労感、ものがぼやけて見えるなどの症状が現れることがあります。さらに血糖値が低下すると、けいれんや昏睡などの症状が現れることもあります。
血糖値が35㎎/dL以下になると意識レベルの低下が現れ、ろれつが回らなくなったり、めまいが生じたりします。
血糖値が20㎎/dL以下になると意識消失、ケイレン、さらには昏睡状態になり、最悪の場合には死に至る場合もあります。
低血糖になったときの対処方法を知る
低血糖になってしまった時には、すぐに糖分を摂ることが必要ですが、ブドウ糖や砂糖などの吸収の良い糖分を10g~15g摂取して、しばらく様子を見ます。それでよくならない場合には、さらに同量を摂取して様子を見ます。
インスリンの自己注射を行っている人は、低血糖発作を起こす可能性がありますので、ブドウ糖などを常に持ち歩くことをお勧めします。症状が改善しない場合には、すぐにかかりつけの医師に相談しましょう。
また、意識消失やケイレンが起こるほどの重篤な状態であれば、すぐに救急車を呼んで緊急に治療を受ける必要があります。
まとめ
糖尿病と低血糖の関係とは?
糖尿病とインスリン
低血糖はなぜ起こる?
低血糖になったときの症状
低血糖になったときの対処方法を知る