血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)の高い状態が慢性的に続く病気です。ブドウ糖は、主にごはんやパンなどの食事(糖質)から吸収され、エネルギーとして使用されたり、貯蔵されたりします。
ただし、普通は食事をすると血糖値が上がるものの、暫くすると元に戻ります。しかし、この血糖値を下げるインスリンというホルモンが不足したり、充分に作れなくなり、血糖値が下がらないのが「糖尿病」です。今回は、 糖尿病 を 予防 する 食事 についてご紹介します。
糖尿病予防と糖尿病の食事療法
糖尿病の主な自覚症状
- 喉が渇く。
- 尿の量が増える。
- すぐにお腹がすく。
- 体が怠く、直ぐに疲れる。
- 目が霞む。
- 食べているのに痩せる。
糖尿病の診断方法
糖尿病の判定は、「空腹時血糖値」と「ブドウ糖負荷試験2時間値」の2つで判定されます。「空腹時血糖値」が食事の影響がない状態で調べた血糖値で、「ブドウ糖負荷試験2時間値」は食後に上がった血糖値がすみやかに下がっているかどうかの値を示します。
空腹時血糖値
正常型…110mg/dL未満
境界型…110mg/dL以上~126mg/dL未満
糖尿病型…126mg/dL以上
負荷後2時間血糖値
正常型…140mg/dL未満
境界型…140mg/dL以上~200mg/dL未満
糖尿病型…200mg/dL以上
空腹時血糖値や負荷後2時間血糖値が境界型の方は、近い将来、糖尿病を発症する恐れがありますので食事やライフスタイルを見直しましょう。
糖尿病を予防するには?
適正な体重を維持する
肥満は糖尿病になるリスクを高めます。標準体重を心がけましょう。標準体重の算出方法は、「標準体重(kg)」=「身長(m)」×「身長(m)」×22です。
腹8分目を守る
食べ過ぎは肥満を招くだけでなく、代謝機能に負担をかけます。一度にドカ食いも良くありませんし、食事量が夕食に偏ることも避けましょう。
適度な運動を毎日少しずつ行う
運動は体脂肪を消費しやすく、肥満の解消に役立つだけでなく、血糖値を下げる効果があります。
ストレスは上手にコントロールする
精神的、肉体的過労やストレスは血糖値を上昇させます。嫌な事や不愉快な事を引き摺らず、好きな事をして気分転換をはかりましょう。
定期的な健診で健康状態をチェックする
年に一度は検診を受けましょう。特に肥満のある人、血縁者に糖尿病のある人は必ず検診を受けてチェックする事が大切です。
糖尿病の食事療法とは?
糖尿病の治療には「食事療法」「運動療法」「薬物治療」がありますが、ここでは「食事療法」について詳しく説明します。
食事量を適切にする
「1日に必要なエネルギー量」=「標準体重」×「生活活動強度別エネルギー量」により算出することができます(「標準体重(kg)」=「身長(m)」×「身長(m)」×22)。1日に必要なエネルギー量以上に食事を摂りすぎないことが糖尿病の予防につながります。
下記に、生活活動強度別エネルギー量を載せますので、ご自分に必要な一日あたりのエネルギー量を算出してみましょう。
生活活動強度別エネルギー量
- 安静にしている人、お年寄りなどの場合は、20~25kcal。
- デスクワークが多い事務員、技術者、管理職などの場合は、25~30kcal。
- 外回りが多い営業マン、定員(販売業)、行員などの場合は、30~35 kcal。
- 農業、漁業従事者、建設作業員などの場合は、35~40 kcal。
エネルギー別の1日辺りの食事量
- 1200 kcalは、 ご飯100g、または食パン:60g(6枚切り1枚)
- 1400 kcalは、 ご飯130g、または食パン:80g(6枚切り1+1/3枚)
- 1600 kcalは、ご飯150g、または食パン:90g(6枚切り1+1/2枚)
- 1800 kcalは、ご飯180g、または食パン:120g(6枚切り2枚)
栄養バランスのよい食事を取る
主食・主菜・副菜が基本。汁物+1品あればバランスのよい食事を摂ることができます。下記に5大栄養素とエネルギー量をまとめますので参考にしてください。
5大栄養素
ビタミンやミネラルはエネルギーの無い栄養素です。炭水化物やタンパク質、脂肪はエネルギーのある栄養素です。
- ビタミン:野菜、海藻、キノコ、芋、豆類や、牛乳、果物などに多く含まれます。
- ミネラル:同上。
- 炭水化物:ご飯、パン、麺類、芋、果物などに多く含まれます。(1g=4kcal)
- タンパク質:肉、魚介、卵、大豆、大豆製品に多く含まれます。(1g=4 kcal)
- 脂肪:肉や魚、調理に使う油脂に多く含まれます。(1g=9 kcal)
決まった時間に規則正しく食べる
適切な食事量を1日3回同じくらいの分量に分けて、5~6時間ごとに規則正しく食べる。適切な食事習慣にするコツをご紹介します。
主食を控えめにする。
主食を全く食べないと問題ですが、今までより控えめにします塩気を押さえ、薄味にする。おかずの材料が塩気のある食品だったり、味付けが濃かったりすると、ついご飯が進みます。
ゆっくり噛んでよく味わう
唾液の分泌を盛んにすることで、消化され易くなります。また、ゆっくり時間をかけて食べる事で満腹感が得られ食べ過ぎを防ぎます。
脂肪分を摂りすぎない
食用油分や食品に含まれる脂肪分はエネルギー量が多いため、摂りすぎに注意が必要です。
アルコールは控える
アルコールは1gで7 kcalと高エネルギーであると共に、食欲を増進するため危険です。
まとめ
糖尿病予防と糖尿病の食事療法
糖尿病の主な自覚症状
糖尿病の診断方法
糖尿病を予防するには?
糖尿病の食事療法とは?
食事量を適切にする
栄養バランスのよい食事を取る
決まった時間に規則正しく食べる