腰痛や痺れによる歩行困難や排尿困難、腰から足へ広がる痛み、咳での痛みの増幅などは椎間板ヘルニアの代表的な症状です。これらの症状が出た場合には、速やかに医療機関へ行きましょう。診療は整形外科にて行われます。
問診と体の反応テスト、MRIやCTなどの画像検査をへて、 椎間板ヘルニア と診断された場合、次のような 治療 が行われます。
これだけ知っておけば怖くない椎間板ヘルニアの治療法
急性期の治療:とにかく痛みをとる
椎間板ヘルニアと診断されたら、安静にして、投薬から治療をはじめます。
腰に負担をかけない楽な状態で横になり、安静にします。この時期は、しばらくの間、医師にコルセットを付けるようすすめられることがあります。
コルセットには、炎症を起こして身体を支えられない筋肉をサポートする効果や、腰椎を固定することでヘルニアをこれ以上悪化させない効果がありますので、状況に応じて使いましょう。治癒後は重い荷物を持つときなどに使うことができます。
安静にしつつ、次に行うのは投薬治療です。消炎鎮痛剤や座薬、傷ついた末梢神経を修復するビタミン剤、筋肉の緊張をほぐす筋弛緩剤などを服用することで、椎間板ヘルニアの痛みやしびれの軽減と炎症の沈静化をめざします。
服用期間は通常3ヶ月ほどです。もし1か月たっても効果が得られないときには、神経ブロック注射で痛みを取る方法へ移ることもあります。
薬でだめなら神経ブロック注射
神経ブロック注射とは、専門の麻酔医によって行われる治療です。痛みの元となっている神経の周りや神経の根元に麻酔薬や抗炎症剤を注入して痛みをやわらげようとするもので、硬膜外注射、神経根ブロック注射など種類があります。
通常、ペインクリニックと呼ばれる痛み専門の外来で行われる、高度な技術が必要なものです。注射の効き目には個人差があり、一度の注射で痛みが消えた人や痛みがやわらぐ人もいれば、数回やってはじめて効果がでる人もいます。また、効果がでない人もいます。
回復期の治療法:身体をほぐす
投薬や注射によって症状が良くなってきたら、リハビリ施設や家で無理のない運動を始めましょう。筋肉の緊張をほぐし、正しい姿勢を取るようにします。安静にしていた間に筋力が落ちているため、軽度の運動はしたほうがいいのです。
また、炎症がおさまれば、ホットパックなどの患部を温めて新陳代謝を促進し、自然治癒力を高める温熱療法や微弱な電流で筋肉の凝りをほぐす低周波療法をすることもできます。
ヘルニアで手術が必要なのはどのようなときか
排尿障害のような重度の症状が出ているときには、早期に手術をします。しかし、椎間板ヘルニアは、突出した部分がちぎれたり小さくなったりして体内に吸収され、自然治癒をすることもある病気で、安静にして投薬、注射などの療法をすることで、ほとんどが快方に向かいます。
手術というのは、こうした療法を一定期間行っても痛みが取れない場合に、「患者の同意があればこのような手段もある」と医師がすすめるものです。
近年では、今までの切開手術の他に、顕微鏡や内視鏡を用いた手法も普及しています。手術については個別の状況に応じた医師との検討が必要です。
日ごろからできるヘルニア予防
椎間板ヘルニアにならないようにいくつか注意することがあります。まず、ゆがんだ姿勢がヘルニアの原因となるので、日ごろから正しい姿勢を心がけましょう。
そして、重い物を持ち上げる作業の際は、コルセットをして腰をサポートするか、腕だけで荷物を持ち上げようとせずに背筋を使い、身体全体で持ち上げるようにします。
長時間運転した後に座席から急に立ち上がることも止めましょう。同じ姿勢を長時間取らない、そのあとで急に動かない、などに注意し、適度な運動をしてストレスのない生活を送ることが、ヘルニアの一番の予防となります。
まとめ
これだけ知っておけば怖くない椎間板ヘルニアの治療法
急性期の治療:とにかく痛みをとる
薬でだめなら神経ブロック注射
回復期の治療:身体をほぐす
ヘルニアで手術が必要なのはどのようなときか
日ごろからできるヘルニア予防