「あなたは椎間板ヘルニアの手術法を知っていますか(前編)」では、椎間板ヘルニアにはどのような手術方法があるのかご説明いたしました。後編では、日本で実施されている代表的な 椎間板ヘルニア の 手術 方法についてご説明いたします。
あなたは椎間板ヘルニアの手術法を知っていますか(後編)
代表的な手術方法とは?
日本で実施されている代表的な手術法を紹介しますので、参考にしてください。
ラブ法(LOVE法)
昔から一般的に行われている切開手術です。全身麻酔下にて背中側を5~6cm切開して切り込み部位から神経を圧迫しているヘルニアを肉眼で見て取り除きます。手術時間は30分から1時間ほどですが、入院期間は術後の経過次第によりますが3週間程度必要です。
最近、肉眼ではなく、マイクロ顕微鏡を用いて切開部分を小さくしてヘルニアを取り除くマイクロラブ法も普及しはじめました。手術時間は40分から1時間ほどですが、入院期間はラブ法より短く10日から2週間ほどになります。
ラブ法とマイクロラブ法ともに保険適用となります。
内視鏡視下手術:MED法(内視鏡下腰椎椎間板摘出術)
15年ほど前に開発された内視鏡を使用する手術法です。全身麻酔下にて背中側に1.5cmから2.0cmほど切開口をつくり、内視鏡を入れモニターで確認しながらヘルニアを取り除く手術方法です。
手術時間は1時間ほどですが、入院期間は1週間で済みます。傷痕が小さく、術後の痛みも少なく日常生活の復帰も早いことがメリットです。
MED法は保険適用となります。
微小内視鏡視下手術:PELD法(経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術)
MED法よりさらに傷痕を小さくする為に微小内視鏡を使用する手術です。全身麻酔下にて背中側に7mmほどの切開口をつくり、微小内視鏡を入れてモニターで確認しながらヘルニアを取り除く手術方法です。
手術時間は1時間ほどですが、入院期間は2日ほどですのでMED法より身体への負担も少なく、日常生活への復帰を早いことがメリットです。
PELD法は保険適用となります。
レーザー治療:PLDD(経皮的レーザー椎間板減圧術)
薬物療法と椎間板を取り除く手術の中間的な治療法であり、日帰り手術も可能となります。
局所麻酔下にて椎間板の中央の部位に数ミリの針を刺し、ガラス繊維を針孔から挿入してガラス繊維の先端部からレーザー光線を照射します。
椎間板の中央の部分をレーザー光線にて焼いて神経を圧迫しているヘルニアの神経への圧迫する力を弱めます。治療時間は15分から30分ほどで、傷痕も小さく入院の必要もないことがメリットです。
しかし、PLDD法は保険適用外ですので、高額な治療費が必要です。さらに重症の椎間板ヘルニアには実施できないというデメリットもあります。
経皮的髄核摘出術:PN法
レーザー治療と同じように日帰り手術が可能な手術法です。局所麻酔下にて背中に4mmほどの管を刺し、その中に鉗子を通して飛び出ているヘルニアの髄核という部分をX線透視によって取り出す手術方法です。
髄核を取り出すことによって神経を圧迫する力が弱くなり痛みが軽減されます。手術時間は1時間ほどで、入院する必要もないことがメリットです。
PN法は保険適用となることもメリットになります。
経皮的椎間板粉砕・切除術:enSpire
針孔を使う手術としては最も効果のある手術と言われています。局所麻下にて椎間板に針を刺して針の先端のワイヤーを広げます。この広げたワイヤーを回転させヘルニアを粉砕しながら吸引するという手術方法です。椎間板の内部に空間ができるため、ヘルニアが縮小することになります。
手術時間も30分ほどで、傷痕も小さくヘルニアの再発もなく日帰りも可能です。
しかし、enSpire法は保険適用外ですので、高額な治療費が必要です。
椎弓切除術
昔から一般的に行われている手術方法です。全身麻酔下にて背骨の一部である椎骨を削って神経の圧迫と取り除く手術方法です。術後にはコルセットを数か月着用する必要があり負担がかかります。重症の椎間板ヘルニアの場合に行われている手術です。
椎弓切除術は保険適用となります。
このように、多くの種類の手術法がありますが、最近では局所麻酔を使用したからだに優しい手術が普及しています。
しかし、手術には麻酔をかける・傷をつけるということによるリスクも存在することを忘れないでください。事前に担当の先生と術後の再発率・後遺症の可能性も含めて手術内容の説明を受け、自分で納得した上で手術を受けることをお勧めします。
まとめ
あなたは椎間板ヘルニアの手術法を知っていますか(後編)
代表的な手術方法とは