風が吹いただけで激痛を感じる、それで痛風と言われるようですが、痛風はもともと明治時代以前には日本にはなかった病気です。1960年代に入ってから食生活が欧米化して動物性のタンパク質や脂肪を多く摂るようになって増加してきました。 痛風とは 一種の現代病です。
痛風とはおいしいものをたくさん食べるとなり易い病気です
痛風は高尿酸血症の1つです
痛風とは、血液中の尿酸値が高くなって、足の指や足首、膝などに起きる急性の関節痛です。足の親指の付け根の関節に発症する場合が多く、関節が腫れて激しい痛みが伴います。その痛みは暴飲暴食や激しい運動の後の夜中や明け方に発症するケースが多く報告されています。
他にもまれですが、アキレス腱の付け根や足の甲に痛みがあらわれる場合もあるようです。
健康診断などの血液検査で尿酸値が7.0mg/dlを超えていたら痛風予備軍です。1度専門医の診察を受けるようにしましょう。
痛風は尿酸とプリン体が深くかかわっています
尿酸とは、体を作っている細胞中にある核酸の構成物質のプリン体が肝臓で分解されるときにできる老廃物のことです。尿酸は常に作られる量と排出される量とが一定に保たれています。
プリン体とは、細胞内で遺伝子として働く核酸(DNAやRNAのこと)や細胞のエネルギー源のATPが代謝されるときに生まれるプリン塩基という物質のことです。プリン体は体の遺伝子の成分ですからほとんどすべての食品に含まれています。このプリン体から尿酸が作られます。
プリン体の多い食物は鶏肉、牛肉のレバー、鶏モモ肉、カツオ、クルマエビ、マイタケ、大豆、納豆などですが、プリン体は旨みの成分です。従っておいしい食べ物の中に多くプリン体が入っています。
尿酸は3つの方法でつくられる
- 体内では新しい細胞が生まれ、古い細胞が死んでいく代謝(新陳代謝)が絶えず行われています。古い細胞が死んでいくときに遺伝子を構成していたプリン体が放出され、分解されます。このとき尿酸が作られます。
- 運動することによってエネルギー消費が行われると尿酸が作られます。スポーツなど身体を動かす活動を行うと、そのときのエネルギー源として体内にあるATPという化合物が作られます。ATPはプリン体の原料です。急激な運動や暴飲暴食をするとATPが急に大量に作られ、再使用されることなく分解が進んで尿酸が増加するわけです。
- 食品に多く含まれるプリン体を原料にして尿酸が作られます。プリン体は細胞核の中に含まれているため細胞の数が多い食品(レバーとか魚類)に多く含まれています。これを食べることにより尿酸がたくさん作られるわけです。
尿酸値は何故高くなるのか?
体内に貯められている尿酸の総量を尿酸プールといいます。体内では常に尿酸が作られ、常に排せつされています。毎日大体半分くらいが入れ替わるようです。そして体内では常に一定量になるよう調節されているわけです。
具体的な量としては1日に体内で合成される量が500mg、食事で摂る量が100mgくらいです。排せつは便として100mg、尿として500mgくらいです。つまり600mgが体内で作られ、600mgが排せつされてバランスが保たれています。
このバランスが崩れて尿酸値が高くなると、つまり尿酸プールの量が増加して尿酸値が上昇します。これには3つの尿酸値が高くなるタイプがあります。
尿酸産生過剰型
排せつは正常で生産量が多い。プリン体の多い食事や飲酒、激しい運動、肥満、ストレスなどが原因です。
尿酸排せつ低下型
生産量は正常で排せつが多い。遺伝的な要因や飲酒、激しい運動、肥満、腎臓の病気、一部の薬剤などが原因です。
混合型
生産量が多く、排せつ量が少ない。
このような理由で生産と排せつのバランスが崩れて血液中の尿酸が増えて、尿酸値が7mg/dlを超えた状態が高尿酸血症といいます。これが続くと痛風や尿路結石、さらには腎障害、高血圧、動脈硬化などをひきおこす原因となります。
また、高尿酸血症が長く続くと尿酸の結晶が徐々に関節などに堆積して炎症をおこします。これが痛風発作(関節炎)です。
まとめ
痛風とはおいしいものをたくさん食べるとなり易い病気です
痛風は高尿酸血症の1つです
痛風は尿酸とプリン体が深くかかわっています
尿酸は3つの方法でつくられる
尿酸値は何故高くなるのか?