腰部脊柱管狭窄症と診断された場合、一度狭くなった脊柱管は元には戻らないため、手術以外に圧迫をとる方法はありません。症状が進行すると手術を選択することもあります。
そこで今回は、 腰部脊柱管狭窄症 の 手術 について詳しくご説明します。
知っておきたい腰部脊柱管狭窄症の特徴と手術について
腰部脊柱管狭窄症とはどんな病気なのか
腰部脊柱管狭窄症とは、脊柱管という背骨の中の血管と神経が通っている管が狭くなる病気です。加齢に伴って、椎間板や椎弓が変形するなどが原因で起こることが多いのですが、労働や病気が原因で起こることもあります。
腰部脊柱管狭窄症は、腰の違和感や痛みの他に、足のしびれ、前かがみの姿勢をとると痛みが改善する、という特徴があり、間歇跛行(かんけつはこう)という、休憩を間に入れると歩けるが続けて長くは歩けないという特徴もあります。
腰部脊柱管狭窄症の保存療法のあれこれと手術の関係
腰部脊柱管狭窄症と診断されても、現れる症状はさまざまです。整形外科を受診すると、問診、神経反射の有無、筋力などを調べ、レントゲンやCT、MRIのような画像検査で詳しく状態を見た上で診断し、治療方針を決めていきます。
よほどの重症でなければ、保存療法から始めます。
痛み止めや足先の神経障害を改善するビタミンB12などの内服薬や湿布などの外用薬の薬物療法、コルセットの使用、牽引やホットパックなどの理学療法、腹筋や大殿筋を鍛える運動療法、痛むところに局所麻酔の注射を打つ神経ブロック療法などを、症状にあわせて行っていきます。
保存療法を行って、なんとか日常生活が保てるようなら継続しますが、痛みやしびれがひどくて歩行障害や排尿障害が出るなど日常生活に支障をきたすようなら、医師とよく相談をした上で、手術を選択することをおすすめします。
個人差はありますが、安静にしていても足がしびれてきたり、歩くときにだんだん足が横に広がってきたり、がに股で歩くようになり、5分も続けて歩けなくなってきた頃が手術を決めるタイミングです。
腰部脊柱管狭窄症の手術が決まったらやっておくこと
腰部脊柱管狭窄症の手術方法は、状態によってさまざまですが「神経の圧迫をとる」ことをポイントに行います。開窓術といって、椎弓を一部分削ったり、椎弓切除術といって、椎弓自体を全部切除したり、腰椎を補強する脊椎固定術を行ったりします。
最近では顕微鏡や内視鏡を使い、脊椎のまわりの筋肉の障害を最小限におさえる工夫もされています。手術する箇所は一箇所の場合もあれば、複数の箇所の場合もあります。手術の方針は医師から充分に説明を受けて、相談をして決めていくことをおすすめします。
手術が決まれば、手術日までに体調を整えることが大切です。タバコを吸っている人は禁煙して、手術中や手術後に起こすリスクを減らしておくことが大切なのです。
腰部脊柱管狭窄症の手術は全身麻酔で行うため、タバコと全身麻酔は実は密接な関係があり、禁煙1ヶ月で呼吸器合併症が減り、禁煙3週間で傷の治りが早くなると言われています。
呼吸器合併症をおこしてしまうと、通常2週間くらいの入院期間が延びてしまい、呼吸器の治療も行うことになりかねないので、必ず禁煙しておくことをおすすめします。
知っておくと安心な腰部脊柱管狭窄症の手術後の生活
手術後は、当日は仰向けで寝た状態で安静に過ごしますが、翌日からは歩行器を使いながら歩行ができるのが一般的です。医師の指示によってコルセットを装着して、痛みを軽減したり患部の治癒を補助したりします。
コルセットは軟性のものと硬性のものがあり、手術によって使い分けます。除圧術だけの場合は軟性のコルセット、除圧術と固定術の両方を行った場合は、初期には硬性コルセット、しばらくして軟性コルセットを装着します。
装着期間には個人差がありますが、1ヶ月~3ヶ月、固定術の場合は6ヶ月程度となります。いずれも医師の指示に従い自分の判断でやめないで装着することが大切です。
手術後には、背中をまるめてはいけないなど、とってはいけない姿勢がありますが、すべて入院中にリハビリを行う理学療法士や、看護師が指導してくれます。日常生活に戻ったときに困らないよう生活動作を身に着けてから退院できるので、心配しないで大丈夫です。
まとめ
知っておきたい腰部脊柱管狭窄症の特徴と手術について
腰部脊柱管狭窄症とはどんな病気なのか
腰部脊柱管狭窄症の保存療法のあれこれと手術の関係
腰部脊柱管狭窄症の手術が決まったらやっておくこと
知っておくと安心な腰部脊柱管狭窄症の手術後の生活