全身麻酔 は患者に負荷がかかります。患者の体調や精神状態、合併症などを考慮した 看護 計画が必要です。手術における不安を軽減し、精神的準備が整った状態にすることが第1目標です。
合併症予防のための詳細な観察計画と、アセスメントの情報から、体調やストレスのケアに対する具体的な実施計画が必要となります。
全身麻酔における看護とは?
全身麻酔とは
全身麻酔は、一定時間、身体全体を反射喪失状態にするための方法です。全身麻酔下、患者は無意識、無痛、反射抑制、筋弛緩の状態にあります。
全身麻酔は、ディプリバンやラボナールなどを静注する静脈麻酔後、イソフルラン、セボフルランなどを用いた吸入麻酔を行います。
また、円滑に手術が実施できるように筋弛緩剤や鎮痛剤などを導入します。全身麻酔によって、麻痺は大脳から小脳、脊髄、延髄へと進み、麻酔深度の段階は無痛期(第1期)、興奮期(第2期)、外科的麻酔期(第3期)、中毒期(第4期)の4段階にわけられています。
特に、第4期で麻酔薬の導入量が多い場合は、呼吸が不規則になり、血圧下降、チアノーゼなどの症状が現れるため注意が必要です。
今回は、全身麻酔を受ける患者の看護計画などについてお話します。
全身麻酔を受ける患者の周手術期の看護計画は、アセスメントの視点、問題リスト、看護目標、看護問題などを適正に設定する必要があります。アセスメントでは患者情報を有効に活用し、術前から予測性の高い問題を客観的に予測することが重要です。
問題リストには、不安、呼吸機能変調のリスク、循環動態変調のリスク、体温変調のリスク、組織統合性障害のリスク、安楽の変調・疼痛などの各項目に、詳細な予測性の高い構成要因をとりあげます。
看護目標は、疾患や手術に対する不安軽減や精神的準備ができること、術後に合併症が起きないことなどを掲げます。看護問題には、観察や説明、実施計画に基づき、患者に行った具体的な詳細事項を記述する必要があります。
全身麻酔の観察項目
全身麻酔の観察は、術前、術中、術後で実施する必要があります。
術中・後の合併症の発現に大きく関与する術前の観察は、非常に重要です。
術前の観察項目としては、日常生活における体力の程度、体重・身長の変化、持病・常備薬の有無、血圧・脈拍などのバイタルサイン、喫煙・食事の制限、呼吸器系の異常の有無、アレルギー反応の有無、貧血の有無、家族の麻酔歴の確認、過去の病歴などがあげられます。
術中は、主に呼吸器系、循環器系、体温の異常の有無を観察します。具体的な観察項目は、気道の閉塞、呼吸の抑制、声門(咽喉)の痙攣、気管支の閉塞、血圧の低下、体温変化などです。術後観察は、呼吸状態、循環動態、意識・精神状態の3項目で構成されています。
注意深く3項目を観察し、異常の場合は適正・迅速に対処する必要があります。
全身麻酔の合併症
全身麻酔に関連した合併症には、術後痴呆・せん妄、神経麻痺、誤えん性肺炎、アレルギー反応、悪性症候群、肺塞栓症などがあります。誤えん性肺炎は麻酔薬導入時に起こりやすい合併症です。
麻酔薬や点滴などにアレルギーをもっている人は、術後に蕁麻疹や喘息の症状が発現することがあります。麻酔薬で高熱によるショック状態になる場合(10万人に1人の割合)もあります。
また、全身麻酔により、下肢に血流が停滞し、血液凝固から肺血栓になる場合がありますので注意が必要です。合併症以外に全身麻酔の影響としては、吐き気・嘔吐、頭痛、喉の痛み・声のかすれ、歯・唇の損傷、寒気・発熱などがみられます。
手術直後の観察項目
バイタルサイン
- 呼吸状態(数、深さ、型、気道閉塞の有無、呼吸制御の有無、無気肺の有無、酸素不足の有無)、血圧状態(収縮血圧、心電図モニターの変化、水分出納の把握)、脈拍、体温の状態(術後吸収熱や感染の有無)
麻酔の覚醒状態
- 意識レベル(言語・触覚刺激)、瞳孔・目瞼反射(対光反射、睫毛反射)、運動機能
水分出納
- 輸液量、排出(尿、出血・排液量、その他)
術後の疼痛
- 疼痛の部位、程度、原因
その他
- 皮膚・粘膜の色と性状(チアノーゼ、蒼白、浮腫の有無、発汗、発疹の有無)、腹部の状態(膨満、腹壁緊張、腸蠕動音の有無、悪心、嘔吐の有無)
まとめ
全身麻酔における看護とは?
全身麻酔とは
全身麻酔の観察項目
全身麻酔の合併症
手術直後の観察項目