「身近な病気、痔の基本を知ろう(前編)」では、痔の原因や痔の種類についてご説明いたしました。後編では、 痔 の症状に合わせた対処療法や予防法についてご説明いたします。
痔は生活習慣を見直すだけでもある程度改善する疾患です。
身近な病気、痔の基本を知ろう(後編)
- 目次 -
症状に合わせた対処法
出血しても自然に止血することがほとんどです。痛みがあれば歯状線より外側なので切れ痔、痛みがなければ歯状線より内側なので内痔核、と考えられます。
切れ痔なら、傷を保護して痛みを和らげるために軟膏や坐薬の使用で症状がおさまります。硬い便や下痢が原因となるので、便通を整えるために生活習慣を見直してみて下さい。
内痔核の場合にはぽたぽたと出血することもあります。ティッシュで圧迫すると止まりやすいです。肛門部がうっ血しないよう普段から心がけて下さい。就寝前に坐薬を挿入しておくと翌朝の排便時に肛門への負担が抑えられて効果的です。
痛みや腫れは歯状線より外側ということになります。清潔にして便通を整えることが基本です。坐薬や軟膏で症状を和らげます。痛みの強い外痔核は、入浴や使い捨てカイロで温めると効果があります。
痔瘻や肛門周囲膿瘍による痛みや腫れは、うつ伏せの姿勢で肛門部分を冷やすと和らぎます。膿の排出がある場合には排便後に座浴などで肛門周囲を清潔にしなくてはなりません。炎症が強いので病院での処置や抗生物質の服用などが必要です。
脱出をすると、始めは自然に戻っていたものが次第に戻らなくなっていきます。腫れていなければ痛みがないことがほとんどです。清潔にして押し戻してください。
嵌頓(かんとん)発作といって、出た部分がうっ血して腫れ、戻らなくなって痛みを伴うことがあるので注意してください。
高齢者は直腸や肛門周囲の支持組織が弱く緩んでしまうので、直腸脱という腸が肛門から出てしまう病気や、肛門ポリープといった病気もあります。戻らない、戻りにくいことがあれば病院で診察してもらうことをお勧めします。
ひらひらした柔らかいものは皮垂で、年齢とともにみられる皮膚のたるみで病的なものではありません。
痔の予防
症状の軽いうちは適切に外用剤を使用することで、ある程度悪化の予防ができます。炎症を抑えて痛みやかゆみを和らげます。殺菌作用の含まれるものもあります。外痔核や切れ痔には軟膏を使用します。
内痔核には肛門内部に届く坐薬を使用します。肛門の外側内側両方に使用できる注入軟膏というものもあります。手を汚さずに内側まで薬が届くので便利です。
痔は生活習慣を見直すだけでもある程度改善します。食物繊維の多い和食を中心とした食事、便秘や下痢を起こさないような排便の習慣、肛門部分の清潔などを心がけて下さい。
運動不足を解消することで免疫力がアップして大腸菌などの感染を防ぎ、便秘の解消にもつながります。
まとめ
身近な病気、痔の基本を知ろう(後編)
症状に合わせた対処法
痔の予防