痔の治療は医療の著しい進歩により、痛さをともなわない薬剤による治療や外来処置が主流となってきました。 痔 の 治療 は、症状によって段階的に変化し、最終的な治療が手術となります。手術に至るまでの外用薬治療から、痔の治療方法を段階的にお話しします。
痔の代表的な4つの治療方法
外用薬による治療
痔は良性の疾患なので、できるだけ手術をしない治療を行います。まずは肛門に負担をかけない生活習慣と食習慣の指導を受け、スムーズな排便のリズムを目指します。
生活習慣の改善と並行して薬剤により治療を行います。薬剤は痔の患部に直接作用する外用薬を使用します。座薬と塗り薬の2種類がありますが、塗り薬は奥の方まで薬剤が届かないこともあるため、患部がおくにあるときは座薬が効果的です。
一方、肛門の出入り口付近にできた痔や座薬が使えない人は塗り薬を使用します。同じ薬剤でも座薬と塗り薬で選べることもあるため、自分に合った外用薬を使用することが大切です。
外用薬を使う目的は、痛みと患部からの出血をおさえるだけでなく、軟膏を塗ることで物理的に排便時の潤滑油にすることです。
内服薬による治療
外用薬は、排便をスムーズに行うことで痔の悪化を防ぐことが目的でした。初期の痔であれば外用薬のみで治癒することも多いのですが、改善がみられない場合は内服薬を用いる治療も行います。
内服薬を使用する目的は大きく3種類あります。1種類目は、すでにできた痔を小さくし患部からの細菌感染を防ぐことが目的です。細菌感染を防ぐ目的では抗生物質を服用します。
2種類目は便の軟化剤です。痔の症状を悪化させる原因は便秘のため、固い便が肛門に負担をかけることを防ぐことが目的です。3種類目は痔の痛みが強いときに用いる痛み止めです。
外来処置による治療
薬剤による治療では完治が難しい症状や出血がひどい場合は外来で処置を行います。外来処置のため、入院は必要ありません。
外来処置で一番よく行われる治療は注射による止血です。痔を注射によって固め出血を抑えます。出血をとめる効果は数年ですが、痛みがない治療のため、よく行われています。
注射による治療は痔核を取り除くわけではないため、痔核を完全に取り除きたい場合は、結紮し痔核を取り除きます。
結紮とは、痔核の根元をゴムで締め付けて血流を止めて切除することです。処置は日帰りで行います。最近は抜糸の必要がない糸があるため、抜糸の痛みを心配する必要はありません。
ただ、結紮による治療は痛みを感じる箇所や大きすぎたり小さすぎたりする痔核には行えません。結紮による治療を希望する場合は主治医とよく相談してみることをおすすめします。
手術による治療
薬剤や外来処置を行っても出血が止まらないときには手術による治療を行います。痔の症状がひどいときや痛みが強いときにも手術が検討されます。
痔の手術は他の病気の手術と比較すると短時間であることが多く、20分程度で終了します。裂肛の手術は、狭くなった肛門を広くし、痔やポリープを切除して終了です。
痔瘻は薬剤や外来処置では治療ができません。最初から手術で治療を行います。痔の手術というと痛みを恐れる人がいますが、近年ではレーザー光線を使用した治療など新しい治療方法がたくさん生み出されています。
また、少し前までは痔は手術で治すと考えられていましたが、現在は痔になってもほとんどの症例が手術なしで治せるようになってきました。手術が必要な症例であっても、早急に手術をしなければならないことはめったにありません。
手術が必要と診断されても慌てずに、自分が納得できる説明を受けるようにしましょう。痔の治療方法は症状によってさまざま考えられるため、主治医と相談して決めることが大切です。
まとめ
痔の代表的な4つの治療方法
外用薬による治療
内服薬による治療
外来処置による治療
手術による治療