痔 で肛門科を訪れるのは勇気が要ります。恥ずかしい姿勢で診察される、すぐに 手術 しますと言われそうでどきどきする、すごく痛い思いをしなくてはならない、おまけに入院が長く、又再発するかもしれない。こんな風に思っている患者さんが多いのも事実です。
痔はよほど酷くならない限り手術をしないのが主流です
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手術を必要とする痔とは
昨今の医療技術の急激な進歩により、従来の手術による治療から保存療法に大きく転換してきています。手術はよほど酷い場合以外には行われません。なるべく手術をしないで治すのが主流となっています。
しかし不幸にして症状が悪化して手術による治療法が選択される場合があります。それを見ていきましょう。
ある肛門科医院の実測値ですが、内痔核で手術する人は全体の12%くらい、裂肛・肛門狭窄では10.5%くらい、痔ろうではほとんど100%近い人が手術での治療というデータがあります。
但し、痔の症状の割合を見ると内痔核の人が最も多く、全体の48%にもなります。裂肛・肛門狭窄の人が9%くらい、痔ろうの患者さんは29%となっています。
外痔核の手術
痔核(いぼ痔)には外痔核と内痔核があります。外痔核の手術はごく稀ですが手術による治療が行われる場合があります。痛みが強く、腫れが酷い場合は手術により原因となっている血栓を取り除く場合があります。
外痔核は歯状線より外側のより肛門側にできる血栓性動静脈炎です。血栓(血の固まり)が原因で炎症が起こります。便秘や急に腹圧をかけたりすると肛門に激しい痛みが出ます。
内痔核の手術
一般的に最もよく知られた痔で、いぼ痔はほとんど内痔核です。男女ともに肛門疾患の中では最も多い病気です。内痔核の最大の原因も便秘です。固い便を排出する時に肛門を刺激して負担をかけるために痔核を生成します。
内痔核の治療はほとんど保存療法が主流です。座薬や軟膏、注射療法(出血が止まらない場合)、ゴム輪結紮(けっさつ)などの療法があります。
手術は保存療法や注射療法でも出血が止まらない、繰り返す、痛みが酷い、痔核が脱出するなどで日常の生活に支障がある場合行われます。
裂肛・肛門狭窄の手術
裂肛は歯状線より下の肛門上皮にできます。ここが硬い便が出る時に肛門上皮が切れて裂け、激しい痛みとともに出血します。女性に多い痔です。
初期の段階では生活改善や薬物療法で大体は治りますが、裂肛を繰り返すと患部が潰瘍となって肛門が狭くなります。当然排便に苦痛を伴いますので、こうなると手術で治療します。
痔ろうの手術
肛門腺にうみが溜り、ろう管という管ができてうみが出ます。これが痔ろうです。肛門周囲膿瘍から進行して痔ろうになる場合が多いです。痔ろうは肛門がんになる可能性がありますからほとんど手術による治療となります。
肛門周囲膿瘍とは、肛門腺の細菌感染によってできたうみが進行して肛門の周囲の皮膚が赤く腫れあがって痛みや熱を伴う症状のことです。手術でうみを取り除けば治ります。
肛門周囲膿瘍がさらに進行してうみのトンネルとなったろう管は手術で取り除きます。ろう管が何本もできて化膿を繰り返すとがん化することもあります。手術は絶対必要です。若い男性に多い病気です。
痔の手術って痛い?
手術中は麻酔で行われますから痛みは全くありません。問題は手術後です。麻酔が覚めた後と排便時に痛みがあります。ほとんどの人は術後の翌日から歩行が可能です。通常の生活ができます。しかし排便時に、肛門に力が入ると痛みが出る場合があります。
この場合の特効薬はお風呂に入ることです。劇的に痛みが収まる場合が多いです。しかし手術した人が全て、術後痛くなるわけではありません。4割くらいの人が痛みを感じていません。5割以上の人が痛み止めを飲んで、痛みが我慢できます。
従ってごく少数の人が手術後痛みが酷く、痛み止め注射を行う人がいます。
まとめ
痔はよほど酷くならない限り手術をしないのが主流です
手術を必要とする痔とは
痔の手術って痛い?