髄膜炎という病気はご存知でしょうか?子どもに多くみられる、命にかかわったり後遺症が出たりする怖い病気だと聞いたことがあるかもしれません。髄膜炎は実際に0歳児の罹患率が圧倒的に高いのですが、実は大人もかかる病気なのです。
そこで今回は、大人がかかる 髄膜炎 の種類や症状、さまざまな 後遺症 についてご説明していきます。
怖い!髄膜炎ではどんな症状と後遺症がおこるのか
大人がかかる髄膜炎の症状
髄膜炎とは、細菌やウイルスなどに触れたり吸い込んだりしたときに、なんらかの拍子に髄膜で炎症をおこしてしまう病気です。
大人の場合は、初期には発熱や頭痛といった症状が出ます。嘔吐を伴うこともあり、せきやのどの痛み、鼻水といった風邪に似たような症状が出ることもあります。
一番特徴的なのは、首の硬直です。具体的には首の後ろが硬くなってしまい、頭を前後に動かすと痛みが出ます。
多くは高熱とともに激しい頭痛と首の痛みがあり、急速に進行した場合はけいれん発作や錯乱、昏迷などの意識障害を起こすこともあります。
髄膜炎の種類と治療法
髄膜炎には急性のものと慢性のものとがあり、症状が進行する速度に違いがあります。慢性髄膜炎は、結核やカビなどの菌が侵入してから数週間から数ヶ月かけてゆっくりと菌が増えて進行していくものです。
急性髄膜炎は数時間のうちに急速に進行する急性劇症型もあり、早期の治療が必要になります。
髄膜炎の原因となる細菌やウイルスは、普段身近にどこにでもあるものや身体の中にすでに持っているものなど複数あります。
大人がかかる髄膜炎の原因となるものでは肺炎球菌が20~37%と最も多く、インフルエンザ菌(Hibヒブ菌)が6~14%、髄膜炎菌が4~7%、リステリア菌が17~27%と報告されています。
原因が細菌によるものは細菌性髄膜炎、ウイルスによるものは無菌性髄膜炎(ウイルス性髄膜炎)、カビによるものは真菌性髄膜炎と呼ばれており、それぞれの治療薬が違うため、原因菌を調べるための検査が必要となります。
検査はルンバール(腰椎穿刺)という方法で行う髄液検査です。背中を丸めて腰椎の間に専用の針を刺して髄液を採取して、髄液中の細胞数や糖分の量などを調べ、また数日培養して、原因の菌を特定するものです。細胞数が多く、糖分が少なければ髄膜炎の診断がつき、即治療を始めます。
治療は、原因菌がわかればその菌に効く薬を特定して投与するのですが、特定するまでには時間がかかるため、速やかにあらゆる種類の菌に対応できる抗菌剤の点滴を入れて治療を始めておきます。
髄膜炎にかかった後あらわれる後遺症
細菌性髄膜炎は重症化することが多く、大人の場合致死率が20%前後もあります。命が助かって回復した場合も後遺症が多くあらわれ、感音性(かんおんせい)難聴は14%みられます。
肺炎球菌による髄膜炎では後遺症発生率がとくに高く、31%にのぼります。内訳は難聴20.9%、水痘症6.8%、脳神経麻痺12.2%、けいれん6.5%、痙性麻痺8.7%、視覚障害2.4%となっています。
「感音性難聴」は聞こえる音量が小さくなって聞こえないというものではなく、雑音との聞き分けや言葉全体が聞き取れないという特徴をもった難聴です。テレビなどは字幕がないと離している意味がわからないようになります。
「水痘症」は髄液の吸収に問題が起こって脳質に貯まってしまうもので子どもに多くみられますが、年齢問わず起こります。脳質に髄液が貯まると周りの脳を圧迫するので歩行障害、もの忘れ、排尿が間に合わないなどの問題がでてきます。
「痙性麻痺」は反射神経が強調されて筋肉の動きが硬くなる症状で、痙縮のある麻痺のことです。反射で筋緊張を高めてしまうため身体が動かしにくくなり、理学療法士によるリハビリを受けるなどの訓練が必要となります。
また、肺炎球菌による髄膜炎から回復した患者の27%には「認知機能低下」がみられることが報告されています。
認知機能低下は髄膜炎から回復した直後から見られることもありますが、しばらくたってから現れることもあるため、長期間たっても安心はできず要注意です。
まとめ
怖い!髄膜炎ではどんな症状と後遺症がおこるのか
大人がかかる髄膜炎の症状
髄膜炎の種類と治療法
髄膜炎にかかった後あらわれる後遺症