年齢を重ねるごとに便秘や下痢などの腸の不調を訴える人の割合が増えます。とくに便秘に悩む人は多くいて、便秘のリスクは60代では30代の倍になるといわれています。できれば薬に頼らずに気持ちよく排泄したいものです。
今回は 便秘解消法 をご紹介します。
薬に頼らない便秘解消法!5つのヒント
高齢者が便秘になりやすい理由
高齢者は食が細くなり、便意を感じるのに十分な量の便が作られません。そして各臓器の働きも衰えて腸の動きも弱くなってしまいます。体内に蓄えられる水分量も減少し、筋肉量も減少します。内服中の薬の影響で便秘を引き起こすこともあります。
便秘により、いきむ力や時間を要し体力を消耗します。他にも肛門裂傷、腹痛、腹部の張った感じやすっきりしない残便感など、さまざまな不快な症状があらわれます。場合によっては食欲低下や活動の低下を招き、それがまた慢性的な便秘に繋がるという悪循環におちいってしまいます。
食物繊維をしっかり摂る
全粒穀物、果物、野菜などの繊維の多い食品を摂るように心がけます。食物繊維の摂取量が増えると便の量が増えるので、便意を感じやすくなりスムーズな排便に繋がります。
噛む力が弱い場合や飲み込みが悪い場合は調理法を工夫して摂取できるようにして下さい。ただし腸の働きが弱い時に過剰に食物繊維を摂取して水分が不足すると、便が硬くなり排泄しにくくなります。
他には、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整えることも有効です。ビフィズス菌や乳酸菌などが含まれるヨーグルトや発酵食品などを摂取します。便秘だけではなく、免疫力のアップも期待できます。
また、オリゴ糖は善玉菌を増やす働きがあるので併せて摂取すると効果的です。オリゴ糖にはさまざまな種類があり、野菜や果物、大豆製品、牛乳などに含まれています。高齢になるにつれ腸内の善玉菌は減少してしまうので、意識的に普段の食事に取り入れて下さい。
定期的な運動
排泄には力が必要です。いきみは腹筋の力、便意は腸蠕動による便を押し出す力、そして正しい姿勢で便座に座っていられる力が必要になります。日常生活上の動作に加えて、定期的な運動習慣が望ましいですが、高齢になるにつれて難しくなっていくのが現実です。
腸は体を起こした状態のときに活動しやすくなります。猫背で腸が押しつぶされた状態や、ベッドで寝たままの状態が続くと腸蠕動が低下してしまいます。普段からベッドで生活をしている場合でも、背筋を伸ばした姿勢で座っていられるような生活習慣をつけて下さい。
自力での歩行が難しい場合でも、椅子に座って膝を上げる体操や体をねじる動き、深呼吸など、日常生活に運動を取り入れて継続していくことが必要です。腹部を腸の向きに合わせて「の」の字にマッサージすることでも腸の動きが刺激されます。
こまめに水分補給
高齢になると喉の渇きを感じにくくなります。また、トイレの回数を減らすために飲水を控える人もいます。水分摂取量が少ない時には便が硬くなり便秘の原因になるので、こまめに水分を摂ることが大切です。一度に多く摂る必要はありません。
冷たいものは体を冷やし、内臓の働きが低下するので避けて下さい。利尿作用のある緑茶やコーヒーを摂りすぎると、かえって水分不足になります。
食後にトイレへ
飲食することで消化管の活動が活発化し、腸蠕動によって便が直腸まで運ばれて便意をもよおします。そのため便意は食後に起こりやすくなっています。食事量の減少により便そのものが少なく、便意を感じにくくなっていますが、便意がなくてもトイレに行く習慣をつけることでリズムが整います。
一人ではトイレへ行くことが困難な場合でも、介護者が意識してトイレへ誘導できるように心がけて下さい。
便意を逃さない
便が直腸に溜まると刺激が腸から脳へと伝わり便意を感じます。高齢になるとその反応が鈍くなります。また、すぐにトイレに行けない状況などで我慢してしまうことが続いたときや、下剤に頼った排便の習慣が身についているときには、この反応が鈍くなってしまいます。
直腸に便が溜まっても便意がなく排泄が困難であるこのような便秘は、直腸性便秘といわれるものです。食事や生活習慣を見直して規則的な排便の習慣を取り戻すことで、再び便意を感じられるようになります。強い便意があるほど、楽にいきんで排泄することができます。
食事や睡眠などに加えて、排泄は人が生きていく上で欠かせない大切な行為です。これらの便秘解消法をヒントに日常生活を見直して健やかな排泄の習慣を身につけて下さい。
まとめ
薬に頼らない便秘解消法!5つのヒント
高齢者が便秘になりやすい理由
食物繊維をしっかり摂る
定期的な運動
こまめに水分補給
食後にトイレへ
便意を逃さない