経口された食物は、食道、胃、小腸、大腸、肛門と一連の流れに乗って最終的に栄養素を吸収した後、肛門をより排出されますが、このような消化管は管腔臓器と呼ばれ、その粘液表面は日常的に飲食物、消化液、細菌などにさらされています。
そのため障害を受けやすいのが常で、医療が発展した中にあっても、胃疾患、大腸疾患、食道疾患、小腸疾患と続く消化器疾患に罹患する患者は後を絶ちません。
この中の大腸、小腸がいろいろな原因で内容物が停滞、蓄積した状態になり、疝痛発作、腹部膨満、嘔吐、糞便あるいはガスの排出停止などの症状を見せることがあります。このような疾患を、腸閉塞(イレウス)と呼んでいます。
それでは、 腸閉塞 がどのような原因で起き、どんな症状を見せ、治療はどうすればいいのかを見て行くことにいたしましょう。
腸閉塞を侮ってはいけません(前編)
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腸閉塞の原因
腸閉塞には腸管そのものの病変で閉塞が起こる機械的腸閉塞と、病変は認められませんが腸管を支配する血管神経の障害で、腸の活動に障害を起こす機能的腸閉塞に分けられます。
機械的腸閉塞には、単純性と言って血行障害を伴わないものと、絞扼性と呼ばれている、腸に酸素、栄養を届ける腸間膜が、ねじれを起こしたり、圧迫されたりして血行障害を伴うものがあります。
これはしばしば見られるので逸早く治療(手術)を行う必要があります。
それに対して機能的腸閉塞はマヒ性と言って、手術直後や腹膜炎の直後に見られる腸管運動マヒと、腸管の一部が痙攣し通過障害を起こす痙攣性腸閉塞に分けられます。
腸閉塞はどのような疾患か?
腸閉塞になりますと腸管が膨満します
これは閉塞した部分より上のほうの腸管に、溜まった液やガスが拡張したことで起こります。
血液成分が漏出します
腸管の拡張が腸内圧を亢進させ、腸管壁の静脈を圧迫します。その結果静脈圧が上がり、毛細血管圧も上昇することで、血管壁の透過性が亢進することで、腸内や腹腔内に血液成分が漏出、腹水が溜まったり、超内容が増えたりします。
腸マヒ
腸管内圧が亢進すると腸壁血管が強く圧迫され、血流不足が顕著になります。それは組織の酸素欠乏を意味し、腸マヒを引き起こします。血行障害はそれだけでなく、粘膜面に出血を促し、びらんや潰瘍を作り、それが腸穿孔を起こす一因になります。
嘔吐
嘔吐には二種類あります。一つは、発症後すぐに腸間膜の牽引、絞扼による反射性に嘔吐と、時間が経過した後、腸内容が内圧の高低差からの移動することで嘔吐が起こります。閉塞部分が上部なほど嘔吐の程度は酷くなります。
血圧の下降と呼吸運動の障害
嘔吐が重なると、水分や電解質が失われます。その結果、血液の濃縮が進み、全血比重、血液粘稠度の増加によって末梢循環不全が起こり、血圧が下降します。また、鼓腸(腸にガスが溜まる状況)が横隔膜を押しあげますので、呼吸運動に障害が見られるようになります。
中毒
腸管内部に毒素が生成され、血液中に吸収されることで、全身に障害を引き起こします。
後編では腸閉塞の現れ方や治療法をご紹介します。
まとめ
腸閉塞をあなどってはいけません(前編)
腸閉塞の原因
腸閉塞はどのような疾患か?