腸内の閉塞や狭窄などにより、食べ物や便が詰まって排泄などができなくなる病気が腸閉塞です。高齢者のかたに腸閉塞が多いといわれています。原因はいろいろと考えられます。
今回は、高齢者に多い 腸閉塞 と 便秘 の危険性についてご説明いたします。
高齢者に多い腸閉塞と便秘の危険性について(前編)
高齢者が腸閉塞になる原因として考えられるもの
高齢者が腸閉塞になる原因として考えられるものとして、運動や身体をひねることによって腸捻転ということはあまりみられません。
個人差がありますが、高齢になるとあまり身体を動かさなくなります。そのため筋力も低下し腸の動きも悪くなります。
高齢になると臓器の機能も多少弱くなるのに加え、腸自体のぜん道運動そのものが低下してしまうために、便が詰まりやすくなり、詰まった状態の便がさらに硬くなるために、うまく排出できなくなります。その結果、腸閉塞になるというケースは多いようです。
他にも、高齢者の腸閉塞の原因として少なくないものは、大腸がんなどの腫瘍によるものがあります。癌は年齢を重ねると発症しやすくなるといわれておりますが、大腸は高齢化しても比較的活発に活動しているため、腫瘍がおおきくなる場合が多くあります。
腸は細長いため腫瘍が大きくなると、そのために腸が閉塞してしまい腸閉塞につながります。
腸閉塞の怖いところについて
みなさんのなかには、腸閉塞というのは便が腸にとどまっている状態、つまり便秘が何週間も続いている状態であると勘違いされている方も意外と多いようです。腸閉塞と便秘はまた別のものであるということを知って頂きたいと思います。
腸閉塞は、便秘が原因でおこることが多い病気です。しかし、便秘が進行した状態が腸閉塞ではありません。便秘が原因で腸閉塞がおこることはあります。もちろん関係は密接です。腸閉塞の怖いところは、腸管どうしがくっついてしまう症状です。
腸どうしがくっつくと、もちろん排便は難しくなりますし、食事でとった食べ物がそのまま腸を進むことができず腸の中で止まってしまい、腸が変形してちぎれてしまうこともあります。
腸の細胞がちぎれて癒着してしまい、癒着により腸閉塞で塞がれると血流が止まり腸の壊死が始まる可能性が高くなります。
若い方ももちろんですが、高齢のかたの臓器は壊死するとその影響がすぐに広がるために、早急に対処しなければ命にかかわる重大な症状を引き起こしてしまいます。
腸閉塞の初期症状について
腸閉塞の初期症状をあげてみますと、代表的なのは膨満感です。お腹全体が膨れているという感覚になります。ご飯を食べていないのに膨満感がある場合やお腹全体が張っているような場合には注意が必要です。
症状が進んでいくと、人が見てもはっきりとお腹のふくらみが目立つようになります。また、張りと同時にお腹の痛みもあります。次第に急な腹痛に襲われます。その痛みというのは大変な激痛であることが多いようです。
のたうち回るような激痛が突然あらわれた場合にはすぐに病院を受診することをお勧めします。腸閉塞では、腸が詰まった状態であるため下から物を排出できないために逆流がおこり、嘔吐する人も多いのです。
30秒ごとに強烈な痛みと弱い痛みが交互にでるとおっしゃるかたもいらっしゃいます。
高齢者の便秘の危険性について
高齢者の便秘は、筋力の低下が最も大きな原因です。身体の筋肉や内臓の筋肉が衰えると、排便の力が弱くなってしまいます。便がお腹の中に長い間とどまるという状態になり便秘になります。
腸内に長くとどまることで便の水分が腸に吸収されてしまい、便自体が硬くなってしまいます。硬い便は出すのが難しく、便秘が悪化してしまうという悪循環になります。
腸閉塞ももちろん、便秘が原因で引き起こされる可能性の高い病気ですが、実は便秘により引き起こされる怖い病気が他にもあります。
例えば、脳血管・心臓血管障害です。排便のときにいきむと血圧が上昇し、血管に負担をかけてしまいます。このことにより脳梗塞や心筋梗塞の病気につながる可能性があります。
また、免疫力の低下です。免疫細胞の7割は腸でできているといわれるほど免疫力と腸は深いかかわりがあります。便秘により腸内環境が悪化すると免疫力の低下をまねき細菌やウイルスに感染しやすくなります。
高齢者にとってもっとも危険な肺炎を発症する可能性もあります。
まとめ
高齢者に多い腸閉塞と便秘の危険性について(前編)
高齢者が腸閉塞になる原因として考えられるもの
腸閉塞の怖いところについて
腸閉塞の初期症状について
高齢者の便秘の危険性について