腸閉塞は厚生労働省の調査によると年間10万人近くが罹患している病気です。他疾患での手術をしたことがある方や高齢になると腸蠕動が低下し便がつまるため罹患率が多い、わりと身近な病気の一つであり再発しやすいのが特徴です。
もし、 腸閉塞 に罹患した場合にどのくらいの 入院期間 になり、そのかかる費用、入院中における腸閉塞の回復の経過目安についてご説明いたします。
腸閉塞の入院期間と入院中の経過や費用について
腸閉塞になった場合の入院治療の必要性
腸閉塞を発症した場合、基本的に入院による治療が必要です。それは手術が必要な人だけでなく、手術をせず点滴などで治療をする温存治療の人も対象になります。
腸閉塞は場合によっては命にかかわることもあるため、通院対応では治療ができません。よって、医師の指示に従い入院が必要となるのです。
腸閉塞の場合、症状が出たら絶飲食です。ほとんどの方は症状が強く摂っていませんが、認知症などを患っている人の場合、和らいだ瞬間に食べてしまい嘔吐するなど状態を悪化させる危険があります。
入院中であれば24時間体制でサポートしてもらうことが可能であり、リスクが低減できるといえるでしょう。
腸閉塞の入院期間や費用はどのくらいになるか
病状にもよりますが、おおよそ10日~2週間前後が平均的な入院期間とされています。高齢になってくると腸閉塞に付随して癌などの腫瘍や他の病気が併発して見つかることも多く、入院期間が長期的になることも少なくありません。この場合は、最低1か月から治療が終わるまでになります。
治癒には個人差がありますが、一般的には14日が多いようです。入院期間の平均を出している病院がありましたので参考にすると、H26年度の腸閉塞の入院期間平均は11,5日、温存治療のみの場合の平均11,2日、手術した場合は平均12,6日となっています。
他疾病などにより長期化された方については除かれています。(※社会医療法人財団慈泉会相澤病院より抜粋)
入院が長くなると、高齢者の場合は腸閉塞以外にも心身のレベル低下の可能性もあります。きちんと腸閉塞の治療をしながら、回復期には衰えないための働きかけも必要となるでしょう。
入院費用は3割負担の被保険者は平均で22万~26万程度とされています。限度額認定証や高額医療費制度の利用のほか、70歳以上の方は高齢受給者証の提示をしましょう。
腸閉塞で温存療法の場合の一般的な入院経過
腸閉塞の診断と温存療法の指示が出たあと、病棟に入院するようになります。軽度な症状の場合は点滴が開始になります。これは腸を休ませるのが目的です。腸閉塞はどの状態でも発症したら絶飲食となり、改善されるまでの栄養補給や水分などは全て点滴からになります。
入院期間中にも腸蠕動が鈍く、腸閉塞を繰り返す場合にはイレウス管の挿入や手術の適応と状況が変わってきます。個々の病態によって点滴だけの人もいれば、点滴+イレウス管を挿入という方もいるのです。
他にも高気圧酸素療法という酸素濃度100%の装置の中で圧を高め、減圧して腸閉塞を治療する方法もあります。この方法を繰り返し腹部に溜まったガスや便を出し、改善された場合には翌日から食事や退院が許可される場合もあるようです。
温存療法で腸閉塞が改善された場合には早い方で4日後あたりから水分摂取が可能となってきます。入院期間中は誰もが症状改善と共に離床を促されます。これは動くことで腸蠕動を促し、腸閉塞の再発予防をするためです。
症状が完全に消失し改善され食事や腹部症状が問題ないとされたら退院となります。
腸閉塞で手術適応の場合の一般的な経過
一般的に腸閉塞は術後の癒着などによって発症することが多いとされているので、可能な限り温存療法を行う方針ですが、緊急性、改善されない場合には手術が行われます。緊急性のある場合以外は、温存療法を行ってからと思っていてください。
腸閉塞の手術は腸の癒着や絞扼性の状態などで術式が変わります。壊死がみられた場合には切除して腸の結合手術、癌などの腫瘍摘出や摘出後、腸の再生が困難だと医師が判断した場合には人工肛門造設術などがあります。
手術の場合も個々の全身状態によって入院期間は変わってきます。
手術を受けた方も翌日からベッド上に座るなど可能な範囲で離床を促されるでしょう。これは、全身の血流を動かし、消化管機能の正常化を図ることが重要になってくるからです。
開腹手術の場合の注意すべき点は腸管癒着、腸閉塞の予防が肝心となります。しばらくは点滴で水分や栄養補給をしながら、排ガスや排便、検査で腸内のガスの減少や消失の確認し、数日後から水分、重湯、おかゆと順番に開始となるのが一般的な術後です。
筋力低下が著しい場合や合併症を発症した場合にはリハビリや必要に応じた治療が施されます。
手術の場合は身体への侵襲が大きくなるので入院期間は長めになると心得ておくことが必要です。
まとめ
腸閉塞になった場合の入院治療の必要性
腸閉塞の入院期間や費用はどのくらいになるか
腸閉塞で温存療法の場合の一般的な入院経過
腸閉塞で手術適応の場合の一般的な経過