何かの原因で大・小腸の一部が閉塞した状態が腸閉塞です。主に食物や便が詰まり、排便などができない状態になり、腹部が膨満し吐き気や痛みをともないます。
腸閉塞 は突然起こり、その 初期症状 はキリキリと強く痛む疝痛発作が特徴的で、間欠的に約20分間隔で起こります。腸閉塞で初期の嘔吐は胃液や胆汁ですが、進行すると腸内容物が逆流します。
こわ~い腸閉塞の初期症状は?
腸閉塞(イレウス)の種類
腸が原因で起こる機械的腸閉塞と他要因によって腸に影響があらわれる機能性腸閉塞があります。発生する場所でみると、小腸閉塞と大腸閉塞に、また、閉塞した状況によっては、部分、完全閉塞に分類されます。
病気で腸閉塞になる原因には、先天性異常と後天性腸閉塞があり、先天性異常の場合でも、先天性十二指腸・小腸閉鎖か狭窄、先天性食道閉鎖などの機械性腸閉塞と腸が正常に機能しない病気などの機能性腸閉塞があります。
また、腸閉塞とは区別されていますが、この症状に類似し、遺伝の可能性があり指定難病の慢性突発性偽性腸閉塞症があります。
機械性腸閉塞
- 単純性腸閉塞・・・腸に血行障害がなく、異物で閉塞
- 術後腸閉塞・・・腸が腸や腸壁などと癒着し閉塞
- 絞扼性(複雑性)腸閉塞・・・腸軸捻転などにより腸閉塞になり、血行障害が起こります。捻れの原因には、脱腸、壊死性腸炎や腸重積などがあります。また、単純性から絞扼性腸閉塞へ移行する場合もあります。
機能性腸閉塞
- 麻痺性腸閉塞・・・自律神経に異常が起こり、便秘が重症化し、蠕動運動が停止し腸閉塞になります。自律神経に影響する病気には、腹膜炎、腹腔内出血、電解質異常などがあります。
- 痙攣性腸閉塞・・・腸の蠕動運動が異常に亢進すると起こり、虫垂炎、尿管・胆嚢結石症、ヒステリーなどで発症します。
今回は、腸閉塞の初期症状についてお話します。
腸の中で食物が詰まっているため、腸閉塞の前兆として胃から腹部が膨らんできて、その後、嘔吐や突発的で急激な腹痛、激痛が起こります。刺すような深い痛みの疝痛で、酷い激痛です。腸閉塞の主な症状に、嘔吐、腹痛、便秘があります。
腸閉塞では転げまわるような腹痛におそわれますので、立っていられる程度の腹痛であれば様子をみます。また、腸閉塞ではひどい吐き気や胃液、胆汁や腸内容物などの嘔吐をともないます。
胸まで苦しい、ひどい吐き気が止まらない、立っていられないほどの腹痛がある、腹痛を繰り返すなどの症状がある場合は要注意で、早期に受診が必要です。赤ちゃんも腸閉塞の初期症状は、胃液や胆汁の嘔吐です。
嘔吐は繰り返され、5~15分間隔で強い腹痛が繰り返されるため、激しく泣くことも目安になります。特に、成人では絞扼性腸閉塞は放置すれば100%が死に至りますが、発症から8時間以内に手術をすると、生存確率がかなり高くなります。
絞扼性腸閉塞ではショック状態になる場合があるため、診断の確定後は緊急手術になります。
腸閉塞を原因とする合併症
敗血症
腸閉塞から腸の穿孔や腹膜炎により、体内に細菌が侵入・増殖し、他臓器不全になる場合があり、免疫機能など生命維持機能が異常状態になります。細菌の増殖抑制には抗生物質を投与します。活性の高いエンドトキシンには注意が必要です。
肺炎
嘔吐により腸内容物が食道や気管に逆流し、細菌性気管支炎や肺炎が起こります。
腸閉塞の治療
腸閉塞のタイプを特定するため、X線、超音波、CT検査などを実施します。腸閉塞の中で緊急(開腹)手術が必要となるのは絞扼性腸閉塞だけで、血流阻害されている絞扼部位の解除後、血流の再開を確認します。
血流の回復が早いほど、生存率も高くなります。絞扼性腸閉塞以外の腸閉塞では保存的治療がとられます。閉塞部の腸内容物をイレウス管で吸引し、また、腸上部に閉塞がある場合は胃管を使用します。食事制限や輸液で栄養を与えながら回復を待ちます。
腸閉塞の予防
加齢とともに蠕動運動が低下するため、有酸素運動や穀物、野菜、豆類などの不溶性食物繊維の摂取が必要です。便秘と下痢を繰り返す場合は、リラックスし、昆布、わかめ、こんにゃく、果物などの水溶性食物繊維の摂取があげられます。
また、腹部の開腹手術を受けた人は癒着の可能性がありますので、消化の良い食物を摂ることや、便秘時は薬剤での便通確保が必要となります。
まとめ
こわ~い腸閉塞の初期症状は?
腸閉塞(イレウス)の種類
腸閉塞を原因とする合併症
腸閉塞の治療
腸閉塞の予防