大腸がんの治療方法には、内視鏡的にがんを切除したり抗がん剤の点滴をしたり様々ありますが、手術が行われるケースも多くあります。一昔前はお腹を開いて行う開腹手術が一般的でしたが、最近ではお腹に数ヶ所小さな穴をあけカメラを入れて病変を切除する腹腔鏡手術も増加してきました。
腹腔鏡は開腹手術に比べて傷は小さく済み、手術後の回復が早いというメリットがあります。がんの進行度やがんの種類にもよりますが、現在腹腔鏡手術は積極的に取り入れられています。反対に開腹手術は実際の病変を目で見て確認するので確実性は腹腔鏡より高く、予算も開腹手術の方が安いです。では、大腸がんの手術とはどのような手術をするのでしょうか。
ここでは、 大腸がん の 手術 の内容について話しをしていきます。
大腸がんの手術はどのようなことをするのか
結腸がんの治療について
大腸がんは結腸がんと直腸がんに分けられます。結腸がんでは、がんの部分を含めた腸管の切除とその周辺のリンパ節を取り除きます。結腸とは、上行、横、・下行、S状の4つの腸から成ります。
上行結腸がんや右の横行結腸がんの場合は結腸右半切除術が施行されます。がんが横行結腸の中心部にある場合は、横行結腸切除術が行われます。左側横行結腸がん、下行結腸がんでは結腸左半切除術が選択され、S状結腸がんではS状結腸切除術を行います。
手術では、だいたいがんの部分から約10cm離して腸を切除するため、約20cmの腸が切除されるということになります。これだけの腸を切除しても腸は2m近くあるため身体の影響はほとんどないと言われています。
がんの場所と肛門括約筋の位置がポイント
直腸がんの治療の場合、がんの進行度も治療方法を決定するのに必要な項目ですが、がんと肛門括約筋の位置も治療を決める上で重要になります。
直腸癌では人工肛門を造設する手術が一般的ですが、がんと肛門括約筋の間に距離があれば、肛門括約筋の機能をそのまま温存させる肛門括約筋保存手術が行われることもあります。
肛門括約筋保存手術では、がんの部分を含んだ直腸を切除し、肛門側の残った直腸と口側の結腸を吻合する前方切除術などがあります。この手術法は、人工肛門に抵抗の強い人の精神的負担の軽減にもなっています。
がんの位置が低い場合は人工肛門を造ります
直腸がんの中でもがんの位置が肛門側に近い位置にある場合は人工肛門造設術が選択されます。これは非肛門括約筋保存手術ということになりますが、肛門括約筋とは排便をするとき肛門を緩めたり締めたりする筋肉のことです。
人工肛門を造るとこの緩めたり締めるという運動が出来なくなるため、自分の意思とは関わらずに便やガスが外に出てきます。そのため、いつ出てもいいように人工肛門の出口には袋(パウチ)を装着します。
がんが進行している場合は広い範囲でその周囲のリンパも取り除く必要があります。直腸の周囲には排尿や性機能をつかさどる神経も多く存在します。そのため、手術のあとに排尿障害や勃起障害などを引き起こす可能性もあります。
そのため、手術後は人工肛門の手入れの方法と共に、排尿訓練などを受ける場合があります。しかしながら、最近では医療が発達し、このような神経障害を起こす頻度も減少傾向にあります。
人工肛門は大腸がんでは一般的な治療法ではありますが、手術によって排便コントロールが出来なくなったり、お腹に袋が付くなど今までの身体の状態と変わるため、決意して手術を受けた人でも最初は困惑や拒絶が起こることも少なくありません。
そのため手術を受ける際には、本人だけではなく、家族の人も一緒になって人工肛門に対する理解を深めることが重要になります。
まとめ
大腸がんの手術はどのようなことをするのか
結腸がんの治療について
がんの場所と肛門括約筋の位置がポイント
がんの位置が低い場合は人工肛門を造ります