肺炎は風邪などが悪化した場合にも発症することがあり、比較的一般の人でも知っている人が多いと思います。しかし、肺炎も悪化すると恐ろしい病気であり、日本人の死因の4位に名を連ねています。特に高齢者は肺炎になるリスクが高く毎年約10万人が肺炎で亡くなっています。
肺炎とは名前の通り肺に炎症が起こるものです。 肺炎 は原因によって細菌性・ウイルス性・その他の肺炎に分類されます。それぞれどのような 種類 があるのか説明していきたいと思います。
肺炎の種類にはどのようなものがあるのか
「肺炎」のほとんどが「細菌性」
肺炎の約30%が細菌を原因として発症しています。これは最も多くみられる肺炎であり、一般的に「肺炎」と言われるものは細菌性のものを指します。この肺炎は細菌による感染によって起こすものを言いますが、原因となる菌にはブドウ球菌や緑膿菌など様々な種類があります。
その中でも多くみられるのが肺炎球菌による肺炎(肺炎球菌性肺炎)とインフルエンザ菌による肺炎(インフルエンザ菌肺炎)です。ここで注意しなければいけないのは、このインフルエンザ菌とは冬場に流行るインフルエンザとは全く違う細菌だという事です。
肺炎球菌は空気中に存在する細菌で、鼻や喉を通って身体に入ってきます。通常は風邪を引くだけで肺炎を起こす事は少ないですが、小児や高齢者、免疫が低下している人は風邪が悪化し肺炎に移行する事があります。
一方、インフルエンザ菌は常在菌の1つですが、免疫力が落ちると肺炎球菌同様に肺炎を発症させます。こちらも小児や高齢者などは抵抗力が低いため発症のリスクが高いと言われています。
これらの肺炎は発症すると肺炎だけでなく敗血症などの命を脅かす病気も同時に起こす可能性があるため注意が必要です。そのため、抵抗力が低い高齢者や小児はこれらのワクチンを打って予防する事ようにしています。
大人の人にはまれな「ウイルス性肺炎」
ウイルス性肺炎のほとんどは小児に発症し、大人がなる事は非常にまれです。逆に、小児の肺炎では細菌性肺炎よりウイルス性肺炎の割合の方が高いです。
その原因となるウイルスはインフルエンザウイルスやRSウイルス、アデノウイルス、麻疹ウイルスなどが多く、ほとんどが子供の間で流行する感染症のウイルスです。小児の場合、身体が未熟で抵抗力が弱いためインフルエンザやRSによる風邪を発症すると、それが重症化して肺炎を引き起こします。
最近では高齢者にもインフルエンザから肺炎を起こすケースが増加しているためワクチンなどで予防に努める事が重要になっています。
若い人に多い「マイコプラズマ肺炎」
マイコプラズマ‐ニューモニエと呼ばれる微生物によって発症する「マイコプラズマ肺炎」は、肺炎の人の割合の約10%を占めます。この肺炎は乾いた咳が特徴的で10代~30代と比較的若い世代に多くみられます。
症状が風邪に似ており、血液検査やレントゲンでも発症後すぐには異常が出ないため確定診断するのに10日前後掛かってしまいます。そのため、検査データに異常がなくても高熱や咳が異常に続く場合は、マイコプラズマ肺炎を疑い早めに治療を開始する場合も多くあります。
この肺炎は咳によってすぐに他人に移るため、学校や職場でも大流行を引き起こします。ここ近年は大流行ということはないですが、発生数は増加しています。
その他の病原体による肺炎
上記に述べた以外にも、レジオネラ肺炎やカビによる夏型過敏性肺炎、誤嚥性肺炎などが挙げられます。レジオネラ肺炎はレジオネラ菌による肺炎で発症すると重症化しやすい肺炎の1つです。
近年では温泉の中にレジオネラ菌がおり、その湯に浸かった多くの高齢者が集団感染し亡くなった事例がありました。糖尿病やがんなどを患っている人は発症のリスクが高いと言われています。
夏型過敏性肺炎とは最近日本で増加している肺炎の1つです。梅雨の高温多湿の時期に部屋でカビが増殖し、それが身体に入る事で肺炎を発症させます。このカビはエアコンの中で繁殖している事が多いため、エアコンを使っている時期に起こる事が多いです。
誤嚥性肺炎は高齢者に多くみられる肺炎です。加齢や脳梗塞などの病気で嚥下機能が低下している人が食べ物や飲み物を嚥下した時に、食道ではなく誤って気管の方に食べ物が入り込んでしまう事で起こります。
誤嚥した場合、通常は反射で咳が出て食べ物を排出しますが、高齢者などは反射が弱くなってしまうため、誤嚥した食べ物が流れ込んで肺に達してしまいます。その結果、誤嚥した食べ物に細菌が付着し肺炎を発症させます。
まとめ
肺炎の種類にはどのようなものがあるのか
「肺炎」のほとんどが「細菌性」
大人の人にはまれな「ウイルス性肺炎」
若い人に多い「マイコプラズマ肺炎」
その他の病原体による肺炎