平成26年10月1日から平成31年3月31日まで、65歳以上で100歳まで5歳刻みの高齢者を対象に、 肺炎球菌 ワクチン の接種が定期的に行われるようになったのをご存じでしょうか?もしご存じなければ、ぜひ、肺炎球菌ワクチン接種を受けるようお勧めいたします。
というのも、日本人が罹患する肺炎の中で、肺炎球菌で感染する人が一番多く、何らかしらの対策をということで、肺炎球菌ワクチンの接種が始まったのです。当然、ワクチン接種を受けた場合と、受けない場合では肺炎になる割合が明らかに違います。
そこで、肺炎球菌の背景をご紹介しつつ、肺の病気の中で、最も死者数が多い肺炎について、説明することにいたします。
肺炎球菌ワクチンの接種を受けましょう(前編)
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肺炎とはどんな病気?
肺の最も大事な機能として、酸素を全身に送るために取り入れることと、体中の二酸化炭素を排出するという、ガス交換を行うことが挙げられます。
そんな重要な機能を持っている肺の組織が、肺炎球菌を代表とする細菌やウイルス、その他の病原微生物に感染し、炎症を発症した上に機能不全に陥るような状態になるのが肺炎です。
肺炎の症状として顕著に見られるのは、咳、痰が出る、発熱、胸の痛み、呼吸困難、倦怠感などで、風邪様の症状と似ているので、本当に風邪と思い込んでしまうことがあります。ところが、そのまま放っておくととんでもないことになります。
というのも、肺炎は重症化する場合が多く、そうなれば当然入院して治療することになります。特に病原微生物によっては、咳や熱が見られない場合もあるので、余計に神経をつかわなければなりません。
肺炎球菌性と肺炎の関係
巷間言われている肺炎は2種類に分類され、①感染する環境分類と、②病原微生物分類に分けられます。当然のことながら、この2種類は症状も違いますし治療法も異なってきます。
①感染する環境に関係する肺炎は二つあります。一つはいわゆる日常生活の中で感染する市中肺炎と言われるもので、風邪やインフルエンザがもとで起きた肺炎で、この手のものは早期治療で治る場合が多いです。
もう一つの肺炎は院内肺炎と言われるもので、病院に入院して48時間を過ぎてから罹患する肺炎で、体力が落ちて抵抗力が低下した際に罹患するもので、治療も難しくなり最悪の場合は死に至ることもあります。
②病原性微生物に関係する肺炎は、微生物の種類によって3つに分類されます。一つは定型肺炎(細菌性肺炎)で、ここに今回のテーマである肺炎球菌があります。
その他にインフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌、嫌気性菌、緑膿菌などがあります。この肺炎の特徴は痰をグラム染色すると細菌が紫色やオレンジ色に染まります。
二つ目は非定型肺炎で、細菌とは別の微生物が因で起きます。マイコプラズマ、クラミジア、レジオネラ菌などが挙げられます。特徴はグラム染色した場合、染まることがありません。
三つ目はウイルス性肺炎で、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、水痘ウイルスなどのウイルスが因で起きる肺炎です。
後編では、肺炎球菌とはどのような細菌なのか、そして感染経路やワクチンについてご紹介致します。
まとめ
肺炎球菌ワクチンの接種を受けましょう(前編)
肺炎とはどんな病気?
肺炎球菌性と肺炎の関係