「肺炎球菌ワクチンの接種を受けましょう(前編)」では、肺炎とはどのような病気なのか、また肺炎と肺炎球菌にはどのような関係があるのかご説明致しました。後編では、肺炎球菌とはどのような細菌なのか、そして感染症対策のための 肺炎球菌 ワクチン 予防接種についてご紹介致します。
肺炎球菌ワクチンの接種を受けましょう(後編)
肺炎球菌とはどんな細菌?
肺炎球菌は日常的に私たちの身体の中に存在する常在細菌の一つで、主に鼻やのどなどの上気道に定着していますが、普通の状態では悪さをすることはありません。
ところが、体調を悪くした高齢者や乳幼児の場合は、肺炎球菌に対する防衛機能が落ち込み、結果的に肺炎に罹患するのです。
高齢者の肺炎の中で、肺炎球菌が原因になっているものは、全体の25%から40%を占めています。というのも、高齢者は抵抗力がないため罹患しやすく、高熱や咳、痰、胸通がない場合もあります。
しかしながら様子を見ていて、いつもより元気がない、食欲がない、意識がもうろうとしている、呼吸や脈拍が早いと感じたら、すぐに医師の診断を仰ぐようにしたいですね。
肺炎球菌の感染経路
肺炎球菌の感染は唾液などの飛沫で行われ、肺炎だけでなく気管支炎や敗血症、髄膜炎などの病気の原因にもなっています。特に高齢者は体調の悪い時などに、体力が落ち免疫力が低下している際に、肺炎球菌に感染すると肺炎を患うことになります。
また、小児の鼻やのどに肺炎球菌が定着していることが多く、彼らが咳やくしゃみをすることで、感染の範囲が広がっていくようです。
肺炎の感染症対策に肺炎球菌ワクチン予防接種
冒頭に肺炎球菌のワクチンの接種の話をしましたが、これは肺炎球菌が原因での感染症を予防するのと同時に、仮に感染した場合の重症化を避けるのに意味があります。
実は、肺炎球菌は80種類以上あることが分かっています。そのうちの23種類が8割の感染症に関係しています。
肺炎球菌ワクチンは、この23種類の肺炎球菌に対する免疫力を付けることで、肺炎を完全に抑え込むことはできませんが、肺炎の重症化を抑え死亡率を低下させる効果が実証されています。
といって、肺炎球菌ワクチンに頼っていてはいけません。肺炎の感染は飛沫感染が主です。外出の際にはマスクを着用し、また帰宅時には、手洗い、うがいを励行するようにしましょう。
肺炎球菌ワクチンの対象者
肺炎球菌ワクチンの初めての接種は、①65歳以上の人。②特別老人ホーム、長期介護施設の居住者。③COPD(慢性閉塞性肺疾患)、糖尿病、慢性心不全、慢性肝疾患(肝炎、肝硬変)などの持病がある人。それから免疫抑制の治療を受けている人が対象者になっています。
過去に接種を受けた対象者は、5年以内の摂取は受けられません。というのも5年以内ですと注射した部分に強い痛みがでることがあり、少なくとも5年以上の間隔が必要になります。
肺炎球菌ワクチンを再接種した場合、同じように免疫力を高めますので、効果を期待することができます。
肺炎球菌ワクチンの効果
肺炎球菌ワクチンの効果が現れるのは、抗体が出来るまでの時間で、おおよそ3週間がかかります。接種直後はその部分は赤くなって腫れ、しかも熱も持ち痛みを伴うこともあります。
それから、費用対効果も重要なファクターの一つで、肺炎に罹患して入院生活を余儀なくされた場合、その入院費は保険適応で25万円ほどかかると言われていますが、肺炎球菌ワクチン(各自治体によって金額は違いますが、個人負担が3000円前後)で重症化が防げるとしたら、これは医療費の削減に大いに貢献することになります。
これまで肺炎球菌ワクチンについて示してきましたが、辛い思いをしないためにも、ぜひ接種を受けるようにすることと、もう一つ大事なことに誤嚥性肺炎があります。これは食事の際に、嚥下障害から細菌が唾液や胃液と一緒に肺に入り込むことで起きます。
再発を繰り返すことで、耐性菌が出現し治療を難しくしています。それ故、高齢者の死亡率もたかくなっていますので、注意が必要です。
まとめ
肺炎球菌ワクチンの接種を受けましょう(後編)
肺炎球菌とはどんな細菌?
肺炎球菌の感染経路
肺炎の感染症対策に肺炎球菌ワクチン予防接種
肺炎球菌ワクチンの対象者
肺炎球菌ワクチンの効果