肺炎球菌ワクチン には23価と13価肺炎球菌ワクチンとがあります。23価肺炎球菌ワクチンは日本で使用され始めてから長期間が経過しており、たくさんの日本人に接種されています。 副作用 は注射部位の痛みや腫れなどの局所症状がほとんどで、発熱などの全身症状はまれです。
重篤な副作用はほとんどありませんが、添付文書には重篤な副作用が記載されており、全く起こらないと断定することはできません。
肺炎球菌ワクチンの副作用
肺炎球菌ワクチン
肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌感染症の予防接種のために使用される薬液です。
肺炎球菌にもたくさんの種類があるのですが、現在日本で使用されている肺炎球菌ワクチンは、主な23種類の肺炎球菌に対して有効な23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(多糖体ワクチン、PPSV23)と13種類に対して効力がある13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)の2つです。
23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンはしばしば23価肺炎球菌ワクチンと呼ばれています。65歳以上の成人が対象となっている予防接種法に基づいて使用されるワクチンは23価肺炎球菌ワクチンです。
一方の13価肺炎球菌結合型ワクチンはよく13価肺炎球菌ワクチンと称されています。こちらは平成26年6月から65歳以上の成人にも使用することができるようになりました。したがって現在、任意接種では23価肺炎球菌ワクチンと13価肺炎球菌ワクチンのいずれかを選択することが可能です(定期接種と任意接種については別項を参照してください)。
この項では、これまでに65歳以上の成人での使用経験が圧倒的に多い23価肺炎球菌ワクチンの副作用について説明します。
23価肺炎球菌ワクチンの副作用
正確にはワクチンを使用して生じた不都合は副反応と呼び、治療薬で生じた副作用とは区別されていますが、わかりやすいのでこの項では副作用と記していきます。以下に述べる23価肺炎球菌ワクチンの副作用について注意してほしい点が2つあります。
1つは(肺炎球菌ワクチンに限りませんが)、日本では予防接種後に定められた基準に当てはまる症状が出ると、因果関係に関係なく報告するようになっていることです。つまり、厚生労働省の予防接種後の副反応集計には、予防接種とは本当は無関係のできごとが含まれてしまっている可能性があります。
もう1つは、肺炎球菌ワクチンだけでなく、ワクチンや治療薬、あるいはサプリメントの副反応や副作用は、実際に自分が使用してからでないと出現するかどうかわからないことが多いということです。
以下に書いているように23価肺炎球菌ワクチンは副作用が少なく、安全性が高いとされているワクチンですが、“絶対に”安全とは誰にも言い切ることはできません。もちろん、“肺炎球菌ワクチンは危険だからやめておいた方がよい”という意見にも賛成できません。
結局は、自分で判断して(かかりつけの先生や実際に予防接種している先生から話をきくことはできると思いますが)、自己責任で接種するかどうかを決めるしかないのではないでしょうか。
ただし繰り返しになりますが、これは肺炎球菌ワクチン接種に限らず、風邪薬や市販のサプリメントを使用するときでも基本的には同じことです。
前置きが長くなりましたが、23価肺炎球菌ワクチンは日本で使用され始めてから既に20年以上が経過しているワクチンです。これまでに約500万人の日本人に接種されており、“安全性が高い”とされています。
局所症状
局所症状は、注射した場所に生じる不都合のことです。ちなみに23価肺炎球菌ワクチンは上腕(肩と肘の間)に筋肉注射、もしくは皮下注射をして接種します。
接種した部位の痛み(軽いことが多いです)、発赤(赤くなること)、主張(腫れること)、かゆみ、頭痛などが報告されており、約半数の人に出現するとされていますが、軽度のことが多く、数日で症状は自然になくなることがほとんどです。
ただし持続する場合や、日に日に悪化してくる場合は予防接種を受けた医療機関を受診した方がよいでしょう。
全身症状
全身症状として発熱や筋肉痛が報告されていますが、出現する人は1%未満とされています。これらも基本的には、自然に治まりますが、やはり持続する場合は予防接種を受けた医療機関で相談してください。
問題は、重篤な副作用として23価肺炎球菌ワクチンの添付文書(薬事法に基づいて作られた公文書のことです)にはアナフィラキシー様反応(アレルギーの非常にきついタイプでショック状態になることもあります)やギランバレー症候群等の急性神経根障害(全く同じとは言い切れませんが、現在子宮頸がんワクチンで問題になっている副作用をイメージしていただけるとよいと思います)といった事象が記載されていることです。
添付文書には頻度は不明と記載されており、また海外からの報告も含むとなっています。全く社会問題にはなっていないので、“ものすごくマレ”であることは間違いないと思うのですが、上述したように、この項を読んでくださっているあなたが“絶対に大丈夫”と言うことはできません。
まとめ
肺炎球菌ワクチンの副作用
肺炎球菌ワクチン
23価肺炎球菌ワクチンの副作用
局所症状
全身症状