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敗血症とはどんな病気?新しくなった定義は?

sai

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haiketsusyoutoha

敗血症 とは 重症化した感染症の病態を表す用語で、死亡することも多い危険な状態です。全身のあらゆる部位の感染症が敗血症の原因となりますが、絶対数が多いものは肺炎と尿路感染症です。

2016年2月に敗血症の定義が変更され、感染症に対する制御不能な宿主反応により生じた生命を脅かす臓器障害と定義されました。同時に敗血症がさらに重症化した敗血症性ショックの定義や診断基準も改められています。


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敗血症とはどんな病気?新しくなった定義は?


- 目次 -

  • 敗血症とは
  • 敗血症の定義が変わった
  • 敗血症性ショック

敗血症とは

敗血症(英語でsepsisと表記されます)は重症化した感染症の病態を表す医学用語です。大多数は細菌による感染症が原因となりますが、ウイルス、真菌、寄生虫などの病原微生物によって生じる場合もあります。

日本における敗血症患者は年間40万人程度、そのうち命を失う方は年間10~20万人程と推定されています。2~4人に1人は死亡する計算となり、非常に“重症”な病態であることがおわかりいただけるかと思います。

原因となる感染症の部位については、Strehlowらが救急外来を受診した敗血症患者さんにおける原因疾患の部位は41%が肺炎、39%が尿路感染症、10%が皮膚軟部組織感染症であり、残り10%がその他の部位の感染症であったと報告しています(Ann Emerg Med. 2006)。

これは肺炎や尿路感染症が敗血症に進行しやすい危険な病気というよりも、肺炎や尿路感染症患者の絶対数が非常に多い感染症であることが理由であると考えられます。肺炎や尿路感染症については他項で詳しく説明していますので、興味のある方はご一読ください。

また皮膚軟部組織感染症には褥瘡(じょくそう)、蜂窩織炎(ほうかしきえん)、壊死性筋膜炎(えしせいきんまくえん)などの病気が含まれています。蜂窩織炎と壊死性筋膜炎については別項で解説しています。

“その他の部位”については頭のてっぺんからつま先まで全身のあらゆる部位の感染症が敗血症に進行する可能性があります。

具体的には頭の中(髄膜炎、脳炎、脳膿瘍)、鼻(副鼻腔炎)、耳(中耳炎、外耳炎)、のど(咽頭炎)、心臓(心内膜炎)、腹部(腸管内感染症、腹腔内感染症、骨盤内炎症性疾患)、前立腺炎、肛門周囲膿瘍、関節炎などの疾患が敗血症の原因になります。


敗血症の定義が変わった

ここからはやや専門的な内容になりますが、いま非常に医学界で話題となっていることなので、お付き合いください。

2016年2月に開かれた米国集中治療医学会で敗血症の新しい定義と診断基準が発表されました。新しい定義では、敗血症は感染症に対する制御不能な宿主反応により生じた生命を脅かす臓器障害とされています。

さらに臓器障害はSOFA score(Sepsis-related Organ Failure Assessment score)が2点以上増加するものと定義されました。

SOFA scoreはICU(集中治療室)でよく用いられている臓器障害を表す指標で、意識、呼吸、循環、腎臓、肝臓、凝固(ぎょうこ)の各項目を重症度に応じて点数化したものです。

ただしSOFA scoreの各項目をすべて評価することは、ICU以外の医療現場(例えば救急車で来院した患者さんを診察する場など)では大変であるために、簡易版が示されています。

quick SOFA score(qSOFA)と呼ばれるもので、呼吸回数が1分間あたり22回以上、精神状態の変化、収縮期血圧100mmHg未満の3項目で構成され、感染症を疑う患者がqSOFAに2項目以上該当すれば敗血症と判断されます。

体温や採血検査、画像検査は含まれていないことがポイントです。敗血症としばしば混同されている医学用語に菌血症(きんけつしょう)があります。

菌血症は本来無菌であるはずの血液の中に菌が存在するものと定義され、血液培養と呼ばれる採血検査で陽性と判定されると菌血症の診断が確定します。

菌血症も重篤な感染症の状態ですから、敗血症はよく菌血症を合併します(敗血症の定義が上記とは異なりますが、敗血症患者の17%が血液培養陽性であったと報告されています(JAMA. 1995))。ただし敗血症の診断に血液培養陽性は必須ではありません。


敗血症性ショック

ただでさえ重症である敗血症ですが、いっそう重症化してショック状態になったものが敗血症ショックです。日本の報告ではありませんが、敗血症性ショックでは40%以上が死亡するとされています(Crit Care Med. 2006)。

また敗血症性ショックを起こした人の実に69%が菌血症であったとの報告があります(JAMA 1995)。このたび敗血症診断基準が変更されたことにあわせて、敗血症性ショックの診断基準も変わりました。

新しい基準では適切な輸液を負荷しているにもかかわらず、平均動脈圧65mmHg以上を維持するために循環作動薬を必要とし、血清乳酸値が2mmol/l(18mg/dl)以上であるものと定められています。

新基準のもとで、より有効性の高い敗血症性ショックの治療法が確立されることが期待されています。

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まとめ

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敗血症とは
敗血症の定義が変わった
敗血症性ショック

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