肺気腫 は、中高年男性に多い病気であり、近年増加傾向にあるようです。肺気腫が進行すると、必死に呼吸しても酸素を取り入れることができず、とても苦しく辛い状態になります。
また、決して完治することのない病気でもあり、とても怖い病気として知られていますが、そんな肺気腫についてご紹介します。
肺気腫ってどんな病気?
肺気腫とは?
肺気腫は慢性閉塞性肺疾患の一種であり、肺胞が破壊されてしまう病気です。肺は、肺胞と呼ばれるたくさんの細かい部屋に分かれており、酸素と二酸化炭素の交換を行うという重要な役割を果たしています。
肺気腫は、この肺胞と肺胞の間の壁が破壊されてしまう病気であり、病状が進むと肺胞の数が減って、肺は空洞に変わっていきます。このような気腫性嚢胞がたくさんできた状態を肺気腫と呼びます。
肺気腫は10年から20年という長い期間をかけて静かに進行していく病気であり、特に男性の高齢者に多く発生します。気づかないうちに、じわじわと呼吸機能が失われていく、怖い病気であると言えます。
肺気腫と慢性閉塞性肺疾患(COPD)の違いとは?
慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、肺気腫と慢性気管支炎とを統合した新しい疾患概念として2001年より日本呼吸器学会の診療ガイドラインに明記されたものです。
しかし、肺気腫患者のほとんどが慢性気管支炎を伴っているという状況から、肺気腫と慢性閉塞性肺疾患とは、ほぼ同義語として扱われています。
肺気腫の症状とは?
肺気腫の典型的な症状には以下のようなものがあります。
- 軽い運動でも息切れする
- 慢性的な咳と痰
- 動悸
- 喘鳴
- 風邪をひくと重症化しやすく呼吸困難になる
このような症状があっても風邪や疲れだと判断して放置してしまい、重症化してからようやく発見されることが多いようです。このような症状が長く続くような場合には、早めに呼吸器内科を受診して医師の診断を受けることをお勧めします。
肺気腫が進むとどんな状態になる?
肺気腫が進むと、破壊された肺胞の周りに無数にあった毛細血管が減ってしまうことによって、酸素と二酸化炭素のガス交換ができなくなってしまいます。肺胞の破壊が進んでしまうと、息を吸っても酸素を取り入れることができず、呼吸困難に陥ってしまいます。
次に、肺は本来であれば小さな風船の集まりのような柔軟な器官ですが、肺気腫が進んで徐々に空洞が大きくなり、その数も増えていくことによって、伸び切って弾力のなくなった風船のような状態になって行きます。
そうなると、吸い込んだ空気を自力で吐き出すことができなくなってしまうため、肺が膨張してとても苦しい状態になります。
また、肺気腫は心臓に対しても悪影響を及ぼしてしまうため、注意が必要です。肺循環の障害によって肺動脈圧の亢進が起こるため、心肥大や心不全などの様々な合併症が進んで、よけいに苦しい状態になってしまいます。
肺気腫の原因は?
肺気腫の原因は喫煙と考えられています。厳密に言えば肺胞が破壊されてしまう原因は解明されていませんが、発症する人のほとんどが喫煙者であること、症状の重さが喫煙暦と比例することなどから、喫煙との因果関係は間違いないと考えられています。
まずは禁煙することが治療の第一歩となります。
肺気腫の怖さ
肺気腫の本当の怖さは、決して治ることがない病気だということです。破壊された肺胞は再生されることがないので、治療を行っても病状が今以上に良くなることはあまり期待できません。
良くても現状維持であり、そうでなければ悪くなる一方であるため、病状が進むほど死に向かっているという恐怖が襲ってきます。
このような怖い病気ではありますが、禁煙と生活習慣の改善で病気の進行を遅らせることは可能ですから、できるだけ早期に発見して早期に治療を開始することが最も大切なことです。
まとめ
肺気腫ってどんな病気?
肺気腫とは?
肺気腫と慢性閉塞性肺疾患(COPD)の違いとは?
肺気腫の症状とは?
肺気腫が進むとどんな状態になる?
肺気腫の原因は?
肺気腫の怖さ