私たち人間は呼吸をすることにより空気中に含まれる酸素を取り入れ、いらなくなった二酸化炭素を吐き出します。この呼吸が上手くできないと必要な酸素を取り入れることができず、いろいろな弊害をもたらし時には死に至ります。この呼吸障害をもたらす代表的な病気が肺気腫です。
ここではこの病気なってしまったらどうしたらよいか、 肺気腫 の 治療 についてご紹介していきます。
肺気腫の治療について
肺気腫の治療について
肺気腫になると完治することはできません。そのため他の疾患と違い肺気腫そのものを治すのではなく、病気の進行を防ぐとともに少しでも生活しやすいよう対症療法や保存療法といった治療法が取られます。
環境の改善
まず肺気腫と診断されたらその原因となる危険因子を排除していかなければなりません。肺気腫になる代表的な原因として大気汚染や喫煙があげられます。
これらはみな生活環境や習慣が深く関係しています。もしあなたが喫煙者であったならすぐに禁煙することと、副流煙を吸う危険のある場所に行かないことが大事です。仕事内容や住宅環境によっては転職や転地といったことも必要となるでしょう。
薬物療法
以前は薬の弊害として前立腺肥大症などへの懸念がありましたが近年では気管支拡張剤などの吸引薬が主流となりその心配もなくなりました。
継続的に治療をすることで気管支が広がり呼吸が楽になります。呼吸機能が改善されますと生活の幅が広がり、さらに運動量が増すといった好結果につながります。またその効果も各国で実証されています。
運動療法
運動をしないと呼吸にかかわる筋力が弱ってしまいます。リハビリとして定期的に息を大きく吸い込んだり吐き出したりする訓練をします。
軽い有酸素運動も必要です。日常の散歩や体操などの習慣化を心がけましょう。カラオケなどで声をだすのも効果的です。つとめて腹式呼吸をするようにします。
食事療法
肺気腫になると酸素の吸入量が少なくなるだけでなく二酸化炭素の排出が上手くいかなくなり肺の中の残量が多くなります。
そのため食事中に疲れたり息苦しくなって自然と食事の量も減り栄養不足になります。栄養が足りなくなると筋力が衰え呼吸や嚥下機能が低下するといった悪循環へつながります。
改善策として食事の回数を5、6回ほどに増やし一回の量を減らします。また脂肪分が多過ぎたり逆に少なすぎたりすると消化不良を起こしたり二酸化炭素を増やしたりしてよくありません。炭水化物を減らし蛋白質の多いバランスのよい食事をするようにします。
具体的には肉類だけでなく魚、野菜、果物、乳類といったように満遍なくとるようにします。食べやすく、すばやく栄養が取れるアイスクリームやプリンなどを召し上がるのも一つの方法です。
予防接種をする
肺炎やインフルエンザになると急性増悪と言って急激に肺気腫を進行させます。そうならないためにワクチンによる予防接種をしましょう。予防接種を受ける場合、いろいろと制約がありますから医師と相談しなければなりません。
在宅酸素療法
病気が重度で低酸素血症を引き起こすような場合は持続的に自宅で酸素吸入をする必要があります。低酸素血症を起こすときわめて危険です。そのような場合は速やかに救急医療を受けましょう。
その他の注意点
肺気腫はとても厄介な病気です。というのは症状に差があり初期の状態では気がつかないことと肺気腫と診断されてからも病気の進行を楽観視する傾向があるからです。
食事をするときに慌てて食べたりして誤嚥をまねいたり、予防接種を勧められても費用や時間的なことからついしなかったり、軽い散歩さえも習慣化できないなど面倒ととらえてしまうといった問題があります。
会議や歓送迎会ではどうしても副流煙に遭います。これくらいならとか、仕方がないといった考えが大半で知らないうちに多くの危険因子に遭遇しているのです。常日ごろから自分が肺気腫であることを他人に理解してもらい環境改善することも忘れてはなりません。
まとめ
肺気腫の治療について
環境の改善
薬物療法
運動療法
食事療法
予防接種をする
在宅酸素療法
その他の注意点