肺気腫または慢性閉塞性肺疾患(COPD)は死亡原因の10位になるほどの病気なんですが、やはり気になるのは発症してから一体どれくらい生きられるのかということではないでしょうか。
肺気腫 と診断されてからの 生存率 や予後について、そしてどうすればより元気に長生きできるのか、一緒に考えてみたいと思います。
肺気腫の生存率~患者自身がこれからできることとは?~
肺気腫の5年生存率と10年生存率
肺気腫で労作時に息切れを感じるようになってからの5年生存率は70%と言われており、さらに10年生存率は40%と言われています。
言い換えるとこれは、息切れを感じるような状態の肺気腫になってから、5年で約3割の人が亡くなってしまい、10年で約6割の人が亡くなってしまうということを意味します。
60~70歳台で発症することの多い肺気腫ですが、この数値はかなり高いと言わざるを得ないでしょう。
喫煙との関係
肺気腫は「たばこ病」とも呼ばれている病気ですが、実は「たばこ」の成分がどのようにして肺胞を破壊していくのかというメカニズムは解明されておらず、喫煙者の全てが肺気腫になるわけではありません。
しかし、肺気腫を発症する人の9割が喫煙者であり、たばこの本数や喫煙暦が症状の重さと比例することから、たばこが主な原因であることは間違いないと言われています。
そして、禁煙は肺気腫の進行を抑制することのできる唯一の方法と言われています。肺気腫がどのような段階であろうと禁煙はとても重要な課題であり、予後に大きく影響してきます。
肺気腫は肺胞が破壊されてしまう不可逆的な疾患ですので、病気の進行をいかに遅らせることができるかが重要なのです。
たとえ肺気腫が発症した後であっても、初期のうちに禁煙することができれば、半年程度で咳や痰がかなり減ってきますし、数年で肺をかなりきれいな状態に戻すことができ、症状を改善することが可能だと言われています。
怖い急性増悪
肺気腫は長い時間をかけてゆっくりと進行していきますので、肺気腫そのもので呼吸不全を起こしてしまうほどの重傷になってしまうのはかなり末期になってからです。怖いのは、気管支炎や肺炎を起こして急激に症状が重症化してしまう急性増悪です。
肺気腫は重症になるほど急性増悪になりやすく、呼吸困難の悪化や喀痰の増加、喀痰の膿性化が起こってきます。肺気腫患者のほとんどは、肺気腫の症状そのもので亡くなるのではなく、肺炎などを起こして急性増悪のために亡くなっていますので、感染症には特に注意が必要です。
感染症を起こさないためには?
肺気腫の患者は、ほとんどの場合に慢性気管支炎を伴っており、慢性閉塞性肺疾患(COPD)と呼ばれる状態になっています。つまり、常に炎症を起こしている状態が続いているということになります。
このような状態であればどうしても二次感染は起こりやすくなるため、肺炎によって急性増悪となるリスクを常に抱えていることになります。こういったリスクを抑えるための最も有効な手段といえば、やはり禁煙です。
禁煙はいつまで有効なの?
最も有効なのは、発症する前や初期症状のうちに禁煙をすることですが、症状が重くなってからであっても禁煙が有効であることに変わりはありません。喫煙がどれほど肺気腫の予後を悪くして、寿命を短くしているのかをしっかりと知る必要があるでしょう。
壊れてしまった肺胞が再生することはありませんが、運動療法や呼吸訓練法、ストレッチなどを行うことによって呼吸や動作もかなり楽にできるようになることが期待できます。
大切なのは、できるだけ初期のうちに禁煙し、さらに医師の指導の下、呼吸器リハビリテーションや栄養管理、生活リズムの改善などきちんと行っていくことです。そうすることが生活の質の向上につながり、元気で生活できる期間をより長くすることができると考えられます。
まとめ
肺気腫の生存率~患者自身がこれからできることとは?~
肺気腫の5年 生存率と10年生存率
喫煙との関係
怖い急性増悪
感染症を起こさないためには?
禁煙はいつまで有効なの?