「肺気腫の初期症状は咳、痰、そして呼吸困難(前編)」では、肺気腫となる原因や症状についてご紹介しました。後編では、さらに踏み込み肺気腫に至るメカニズムや治療方法をご紹介します。 肺気腫 とうまく付き合うためにその 症状 をよく理解しましょう。
肺気腫の初期症状は咳、痰、そして呼吸困難(後編)
肺気腫のメカニズム
それでは、肺気腫発症のメカニズムを見て行くことにしましょう。タバコや環境汚染などの有害物質が気管支や肺胞に著しいダメージを与え、実際に気管支は狭くなり、肺胞が損傷します。
そうなると、ガス交換機能である酸素の取入れや二酸化炭素の排出に障害が起きます。つまり、肺気腫は肺特有のガス交換機能を阻害することになります。
肺気腫で気管支が狭くなるのは、気管支が炎症を起こすことによって、気管支の表面が硬化することと、厚みを増すことで空気の流通に支障をきたします。炎症がさらに進むと、痰が気管支に絡むようになり、呼吸するのが辛くなるのです。
一方の肺胞のほうですが、続く炎症のために肺胞の壁が徐々に壊れ始め、ガス交換機能が働かなくなります。肺気腫はこのように気管支が狭くなることと、肺胞が壊れる病気で、これが呼吸障害を起こすメカ二ズムです。
肺気腫の検査と診断
まずは初期症状の有無を確認した上で、喫煙歴をチェックします。肺気腫の患者さんの胸に聴診器をあてると、喘鳴音や吐き出す息の長さ、首から肩、胸の筋肉を使って呼吸をしている様子などから、肺気腫を疑います。
それを確定するのが、気道の閉塞状況を見るスパイロメトリー検査です。スパイロメーターという肺活量計で、Maxまで息を吸い切った量と、最後まで息を吐き出した量の比較で、吐き出した量が吸った量のどの程度のパーセントになるかをはじき出します。
肺気腫が疑われるのは、%肺活量が70%以下になった場合で、このようにスパイロメトリー検査は肺気腫の診断に欠かせない検査です。
次に挙げるのは、胸部X線検査、CT検査です。胸部X線では肺の拡大状況をチェックし、CT検査では肺や肺胞の状況をチェックします。特にCT検査では血管の陰が、正常人に比較して減少しているのが見られ、これによっても肺気腫の診断ができます。
肺気腫の治療
肺気腫の治療については長期管理が必要になります。というのも、肺気腫は元に戻ることがありません。治療するにあたり、肺気腫の増悪因子である喫煙、汚染空気の吸入、感染などを除去しなければなりません。
例えば、呼吸訓練として腹式呼吸や、呼気時にろうそくの火を消すようにする息遣いをしたり、運動療法として、息切れを意識しながらの散歩をしたりすることが大切になります。
治療は気管支拡張剤や去痰剤の吸入や服薬、気管支炎などの感染症対策での抗生物質の処方、合併症が心配される肺性心に対する塩分や水分のコントロール、さらに利尿剤の処方が大事になります。
慢性安定期で低酸素血症が強い場合、労作時に同じように低酸素血症が見られる場合には、酸素ボンベや酸素富化器を用いた酸素吸入を行います。それから、感染などが原因で呼吸状態が悪くなり、低酸素血症や高炭酸ガス血症になった場合は、人工呼吸器による管理が必要になります。
肺気腫との付き合い
肺気腫と診断されたら、喫煙は絶対にやめなければなりません。風邪やインフルエンザの流行に際しては、接触を避けることを第一に外出は禁止です。冷気や粉塵、汚染空気との接触も避けなればなりません。当然、うがいは励行し、呼吸筋を鍛えるために、腹式呼吸をしっかりマスターします。
いずれにしても、肺気腫は早期発見、早期治療が原則になりますので、長期間の喫煙者は、肺気腫の予後が悪いだけに、咳、痰、呼吸に異常を感じたら、すぐに医師の診断を受けるべきです。
まとめ
肺気腫の初期症状は咳、痰、そして呼吸困難(後編)
肺気腫のメカニズム
肺気腫の検査と診断
肺気腫の治療
肺気腫の病気との付き合い