疥癬 はヒゼンダニという虫の寄生により起こる皮膚病です。指の間や脇、陰部など柔らかい部分に発症しやすく、痒みが強いのが特徴です。感染力が非常に強いため、家族や同居人も注意が必要です。
治療 には内服薬と外用薬を用います。正常に見える部分にも虫が寄生している可能性があるので、外用薬は皮膚全体にまんべんなく塗布するようにします。適切に治療出来ていないと悪化するばかりか、他者への感染を拡大させてしまうので医師の指示に従って治療する事が大切です。
疥癬の治療方法について
内服薬の使用について
内服にはイベルメクチンという殺ダニ剤を使用します。効果が高いので、1度か2度の内服で終了する事がほとんどです。ただしこの薬は、ダニの卵には効果が低いため、2度内服する場合は、1週間、または2週間間隔をあけて内服します。
殺ダニ剤は効果が高い半面、吐き気やめまいなどの副作用が出る場合もあるので注意が必要です。特に肝機能や腎機能が低下している高齢者などが服用する場合は注意が必要です。また内服後、ダニの死滅により、一時的に痒みが強くなる場合があります。
高齢者が内服する場合、薬の吸収が低下しており効果が十分に得られない場合もあります。医師に効果をきちんと見て貰う事が重要になります。
それと併用して抗ヒスタミン剤などの痒み止めを内服する場合もあります。最近では、内服薬の効果が上がってきたため、外用を用いず内服薬のみで治療する事も増えてきています。
外用薬(塗り薬)の使用について
外用薬は正常な皮膚も含め、隙間なく薬を塗布する事が大切です。薬の種類に応じて塗る回数や時間間隔が違うので使用方法をきちんと確認してから塗るようにして下さい。
疥癬と診断された場合、ダニの駆除の為にy-BHC薬剤が一般的に用いられます。農薬のように強い薬なので、ワセリンなどで薄めて処方されます。また効果が高いため、1週間に1度だけ塗布し、塗って6時間後に洗い流します。毒性が高まるので、他の軟膏と混ぜたりしてはいけません。
また、併用してオイラックスなどの痒み止めを併用する事もあります。
殺ダニ剤は効果も大きい半面、身体にも大きな負担が掛かる事があります。肝機能が低下している場合などは使用出来ない場合があるので、高齢者などは採血して肝機能や腎機能を確認してから使用する場合もあります。
痒みに対してステロイド剤を塗る人がいますが、ステロイド剤は身体の抵抗力を落としてしまい、疥癬を悪化させてしまう可能性があるので疥癬が疑われる場合は使用禁忌なので注意して下さい。
温泉(硫黄浴)による効果は?
疥癬の治療に、硫黄の温泉が効果があると一部では言われていますが、その効果は実際の所分かっていません。実際には、ダニを殺す効果はあまりないと言われています。
高い濃度の硫黄の湯に入ると、皮膚に負担をかけ、かぶれや乾燥を起こすばかりではなく、浴槽も傷める原因になるので使用する場合は注意が必要です。
家族の人への注意点
疥癬は非常に感染力が強いため、家族で疥癬と診断された人がいる場合は、他の家族も感染していないか診察して貰うようにして下さい。
また、疥癬と診断されなくても予防的に治療が必要な場合がありますので医師の指示に従って下さい。
治療上の注意点
殺ダニ剤は痒みの症状には効果がないため、痒みに対しては痒み止めで対応するようにします。
症状がなくなったからといって勝手に薬を中断しないようにして下さい。皮膚の見た目が綺麗でも、ダニの卵が孵化しておらず症状が表に出ていないだけの可能性があります。
逆に、薬の効果が低いからと言って、自己判断で薬の回数を増やしたりする事も危険なため絶対にしないようにして下さい。
治癒の判定基準
1~2週間間隔で医師の診察を受け、2回連続で皮膚からダニが検出せず、新たな疥癬トンネルが見つからなければ治療完了と判断されます。ただし、再発する事があるため、暫くの間は通院が必要な場合があります。
まとめ
疥癬の治療方法について
内服薬の使用について
外用薬(塗り薬)の使用について
温泉(硫黄浴)による効果は?
家族の人への注意点
治療上での注意点
治癒の判定基準