腹水とは、お腹に水が溜まる事です。腹水は多くの病気でみられる症状ですが、肝硬変の人に最も多くみられます。肝硬変 が進行してくると現れてくる症状の1つです。 腹水 が多量に溜まってくると、お腹の張りや息切れ、吐き気や食欲低下などの症状をもたらします。
腹水が溜まっている時は安静や減塩の食事などで身体に負担を掛けないようにしていきます。
肝硬変による腹水について
腹水の原因とは
腹水の原因は「血液中のタンパク質の低下」が原因の1つに挙げられます。この血液中のタンパク質は主に肝臓で作られています。肝硬変によって肝臓の機能が低下している人は、タンパク質を作る量が減ってしまい、その結果低タンパクになってしまいます。
血液中のタンパク質は血管の中に必要な水を貯めておく役割を担っていますが、血液中のタンパク質が少なくなると、その水分を貯めておく事が難しくなり、血管の外に漏れ出してしまいます。それが、腹水の原因となります。
もう1つの原因は、「門脈圧の亢進」です。門脈とは胃や腸から吸収された栄養を肝臓に運んでくる大きな血管の名前です。通常の場合は、門脈から肝臓にスムーズに栄養素が運ばれてきますが、肝硬変の人の場合、肝臓が固くなっているため血液の流れが悪くなっています。
そのため門脈に血液が滞り、血液の圧が門脈内で上がっていきます。その結果、そこから血管内の水分が外側に漏れ出してしまい、腹水の原因となるのです。
「安静」第一です!
腹水がある時は、身体の圧迫感や重圧感なども強いので、なにより安静する事が大切になってきます。本人の一番楽な姿勢で横になり、身体に負担を掛けないようにします。
腹水が多く、胸部が圧迫されて呼吸がしにくい場合は少し上半身を起こすような形で横になると良いです。ただし、あまりに身体を起こしてしまうと足の方に血液が流れ、肝臓の血液量が減ってしまうので身体の起こし過ぎに注意して下さい。
お腹を締め付けるようなズボンなどは圧迫感があり、本人が苦しいだけではなく、血液の循環も悪くしてしまうため避けるようにし、ゆったりしたものを着用するようにして下さい。
塩分・水分を控えましょう
塩分に含まれるナトリウムという物質は体液の貯留を増加させる作用があるため制限する事が必要になってきます。水分も同様に体液を直接増やしてしまうため制限しないといけません。制限する量については症状の程度によって変わってきますので、医師と相談して下さい。
また、水分とは水だけではなく、食事の時の汁物なども含まれてくるので注意が必要です。
利尿剤の服用について
利尿剤とは排尿を促す薬の事です。体液を尿として出すことで身体の負担を軽減させます。また、排尿によって水分を外に出す事によって血液内のタンパク質の濃度を高くする事ができます。このことにより、血管内の浸透圧を高くする事が出来ます。浸透圧が高いと、血管の外に出た水分を血管の中に引き戻すことができ、腹水を軽減させる事ができます。
その他にも血液中のタンパク質が低い人に対してはタンパク質の点滴をしたり、腹水が多量にたまり苦痛の強い人に対しては直接お腹に針を刺して腹水を抜く事もあります。
気をつけなければいけない事
腹水の溜まっている場合は、お腹の皮膚の粘膜が薄くなっているため傷つきやすくなっています。また、抵抗力も低下しているので、感染なども起こしやすくなっています。そのため、皮膚だけでなく口腔内など全身を清潔に保つ事が重要になってきます。
特に多量に腹水が溜まってくると動く事が難しく、寝たきりになりやすくなります。寝たきりの場合は特にスキントラブルが起こるリスクが高まります。寝たきりの場合でも寝返りを打つなどして同一体位で長時間過ごす事を避ける事が大切です。
まとめ
肝硬変による腹水について
腹水の原因とは
「安静」第一です!
塩分・水分を控えましょう
利尿剤の服用について
気をつけなければならない事