健康診断で 血液 検査 を受けると、たくさんの項目があります。基準値からはずれていると不安になりますが、それぞれ何を意味するのかわからないと改善することもできません。ここでは、その中から AST という項目について説明します。
血液検査ASTの項目でわかるのはなんでしょう?
ASTとはなんでしょう?
ASTはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの略称です。血液の中にある酵素のひとつです。肝細胞や心臓、腎臓などの臓器にたくさん存在し、アミノ酸を作る上で重要な働きをします。検査項目では『AST(GOT)』と表記されていることがあります。
GOTはグルタミン酸オキサル酢酸トランスアミナーゼの略称です。以前はGOTという名称を使用していましたが、近年ASTという名称に変更されつつあり、併記してある場合が多いようです。
ASTの正常値はいくらでしょう?
正常値の指針は、使用した試薬や判定する施設で若干の上下はあるものの、一般的には10~40IU/Lとされています。ASTは逸脱酵素と呼ばれ、存在する臓器の組織が破壊されると血液中に流れ出す性質を持っています。
そのため、高い値になっている場合は臓器が障害を受けている可能性があり、病気の発見につながります。
ASTが異常値のとき疑われる病気は何でしょう?
ASTは単独で検査されることはほとんど無く、たいていはALT(GPT)と一緒にチェックを行います。ALTもASTと同じ逸脱酵素のひとつですが、おもに肝臓に含まれています。
ASTとALTをセットでチェックすることにより、肝臓の異常を調べるのが一般的です。ASTは肝臓以外の臓器や心筋などの筋肉、赤血球中にも多く存在しますが、ALTの値と比較することにより、病気の部位を鑑別することができます。
ASTが高い値のときに疑われる病気
- 肝障害(肝炎・肝硬変・脂肪肝)、心疾患(急性心筋梗塞)、筋疾患(筋ジストロフィーなど)、溶血性疾患、マクロASTなど
ASTが低い値のときに疑われる病気
- ビタミンB6欠乏
なお、検査の前日にお酒を飲むとASTの値は急上昇します。また激しい運動でも高値になることがありますので、検査前2日程度は控えたほうが良いでしょう。
ASTとALT値の比較で何がわかるのでしょう?
ASTは肝臓以外の臓器にも多数ありますが、ALTは主に肝臓に含まれていますので、2つの値を比較することで、障害が肝臓にあるのか、その他の部位なのかを見極めることができます。
AST/ALT<1(AST値が小さい)
- 肝炎(急性・慢性)、脂肪肝、初期肝硬変、など
AST/ALT>1(AST値が大きい)
- 劇症肝炎、アルコール性脂肪肝、アルコール性肝炎、肝硬変(進行)、うっ血性心不全、心筋梗塞、溶血など
AST/ALT>2(AST値が2倍以上)
- 原発性肝がん、筋ジストロフィー
また、同時にγGPT(胆道系の逸脱酵素)の値などとも見比べながら、状態の把握を行います。血液検査の結果、異常が認められた場合は、腹部超音波検診や腹部CT検査などの画像診断や場合によっては肝生検等により、診断の確定をします。
ASTの数値を正常に戻すには
病気の診断はおりなくても、慢性的にASTが高値で推移している場合は、肝臓が疲れていることが考えられます。正常値に戻すためには、生活習慣を改善することが重要です。
- 休肝日を作り、飲酒による肝臓の負担を軽減しましょう。
- 暴飲暴食は控えましょう。食事に注意しましょう。
- ストレスをためないようにしましょう。
- 睡眠を充分にとり、質の良い休息ができるようにしましょう。
- 運動不足を解消しましょう。
血液検査で自分の体の状態を自分自身でしっかり把握すると、病気の予防にいかすことができます。“元気で長生き”を目指し、健康寿命を伸ばしましょう。
まとめ
血液検査ASTの項目でわかるのはなんでしょう?
ASTとはなんでしょう?
ASTの正常値はいくらでしょう?
ASTが異常値のとき疑われる病気は何でしょう?
ASTとALT値の比較で何がわかるのでしょう?
ASTの数値を正常に戻すには