健康診断や人間ドックで 血液 検査 を受けると検査報告書をもらえます。検査項目を見るとアルファベットの羅列で何を調べているのかがわからないというのが正直なところでしょう。
ここではその中から、赤血球恒数の MCV という項目についてまとめました。
血液検査のMCVの項目からわかることはなんでしょう?
MCVとはなんでしょう?
MCVはMean Corpuscular Volumeの略称です。平均赤血球容積のことで、赤血球の1個あたりの平均的な大きさを示しています。
参考基準値は80~98fl(検診施設や病院によって若干異なります)、単位はfl(フェムリットル)であらわされます。基準値より低ければ小球性、高ければ大球性、基準値内であれば正球性と表現します。
MCVの検査は何を知るために行っているのでしょう?
MCVは血算と呼ばれる抹消血液一般検査では必ず入っている項目です。MCVはMCH、MCHCと3つ合わせて赤血球恒数といわれています。MCHは平均赤血球ヘモグロビン量を、MCHCは平均赤血球ヘモグロビン濃度をそれぞれ意味します。
貧血の有無は検査報告書の最初のほうに記載される赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリットで知ることが出来ます。MCV・MCH・MCHCの赤血球恒数を調べることで、その貧血のタイプや原因を知ることができます。
赤血球恒数でわかる貧血のタイプ
血液は主成分が液体の血漿とさまざまな血球がまざりあってできています。その中で赤血球という赤い色をした血球は、血液が赤く見える素となっています。ヘモグロビンは、赤血球の中にあるたんぱく質で、酸素と結びついて肺から体のすみずみまで酸素を運んでいます。
この酸素運搬の重要な役割を担う赤血球が不足した状態が貧血です。赤血球恒数であるMCVによる正球性・小球性・大球性の3分類とMCHCによる正色素性・低色素性・高色素性の3分類の組み合わせにより貧血のタイプを分類することが出来ます。
よくある病態としては大きく3つの分類があります。
小球性低色素性貧血
MCVが小さく、MCHが低く、MCHCが低いタイプです。持続的な出血により、ヘモグロビンを作るのに必要な鉄が不足した場合にヘモグロビンをつくることができなくなり、赤血球が小さくなってしまう症状です。
主な病気としては鉄欠乏性貧血、サラセミア、鉄芽球性貧血、慢性的な出血(月経過多や胃・十二指腸潰瘍など)による貧血などが考えられます。
正球性正色素性貧血
MCVがほぼ基準値、MCHがほぼ基準値、MCHCもほぼ基準値の範囲内のタイプです。
赤血球の大きさも、ヘモグロビンも正常値であるものの、全体として赤血球が足りていない状態です。造る血液は正常なものができるのに、何かの原因で失ってしまったり、造血機能に問題があったりする状態です。
主な病気としては再生不良性貧血、溶血性貧血、白血病、腎性出血、悪性腫瘍などが考えられます。
大球性高~正色素性貧血
MCVが大きく、MCHが高く、MCHCがほほ基準値の範囲内のタイプです。赤血球の大きさが通常より大きい貧血です。なんらかの原因で赤血球を作る際に正常に作ることができず、細胞が大きくなってしまう状態です。
主な病気としてはビタミンB12や葉酸欠乏による巨赤芽球性貧血、骨髄異形成症候群、肝障害に伴う貧血、甲状腺機能低下に伴う貧血などが考えられます。
貧血は一般的によく聞く病気ですが、大きな病気が隠れていることもあります。
貧血の種類と程度によっては、命に関わる場合もありえます。軽い貧血と自己判断をせずに、検査結果に異常があった場合は、医療機関の受診や精密検査を受けるなど、見過ごさずに早めに対応することが重要です。
まとめ
血液検査のMCVの項目からわかることはなんでしょう?
MCVとはなんでしょう?
MCVの検査は何を知るために行っているのでしょう?
赤血球恒数でわかる貧血のタイプ