「人生で大事なのは、何回呼吸するかではなく、何度息をのむ程の瞬間に出会えるかである」と語ったのは歌手ビヨンセでした。
ではその呼吸は人生で何回行われるのでしょうか。もちろん一概にいえませんが、仮に一日2万5千回とすると年間で912万5000回、それに生存年数をかけると・・・、膨大な数字になります。「 呼吸法 」のミニ辞典をご紹介します。
呼吸法はストレスやダイエットから寿命まで影響する!
呼吸の基本知識
肺は自力で動くことはできない臓器です。呼吸するには筋肉(呼吸筋)と、胸腔内の圧力の変化を起こさなければなりません。
その呼吸運動の補助をしてくれるのが主に肋間筋(肋骨を動かす筋肉)と、胸腔と腹腔を隔てる横隔膜です。
以上のように呼吸法を大きく分けるとふたつの型になります。
- 胸式呼吸=息を吐くときお腹を膨らませ、吸うときお腹を引っ込める。
- 腹式呼吸=息を吐くときお腹を引っ込め、吸うときお腹を膨らませる。
正しい呼吸は正しい姿勢を作りだし、正しい姿勢は正しい呼吸をもたらすという相関関係がみえてきます。
実は大事な「呼吸法」
冒頭で書いたように、呼吸そのものは無意識で行うものであり、無意識で何度も繰り返します。特に誰かに指摘されたり呼吸法の本でも読まない限り、日常で看過する動作でもあります。
人は突然のアクシデントには間髪を置かず反応します。しかし、一滴の水が何年も滴れば石に穴が開くように、長年繰り返すことの影響力は絶大です。呼吸法はその意味で大事なことなのです。
呼吸法の改善をした人は全く無意識で気にも留めなかった人と比べ、自律神経を活性化し相対的な人体のバランスを調え、セロトニンに刺激を与えることで体自体の持つパワーが十分発揮できるようになります。
いうまでもなくこの辺の部分は個人差があるので必ずこうだとは言い切れませんが、影響があることは容易に察することができます。
※セロトニンとは近年注目を浴びている物質で、ドーパミンなどの暴走を抑え、心理的なバランスを整える作用のある物質です。これらが不足すると怒りやすくなったり精神のバランスが崩れうつ病を誘引するという研究もあります。
呼吸法を特に重視する分野
このように呼吸が重要視されるとさまざまな「呼吸法」が考え出されます。ヨガにはプラナーヤーマに対するバンダがあり、気功も然り、各種スポーツや仏教の修行にと、呼吸法そのものが基本の基本とするケースは珍しくありません。
内丹術の武息、文息いに至ると重要性は光を帯びてきます。内丹術はもともと中国の伝統的修行のひとつです。自分の体の内部に宇宙万物の構成要素である「気」を整え命を内側から鍛錬することを目指しています。
その中に胎息という呼吸法が出てきます。読んで字のごとく、胎児が体内にいたころのように鼻や口を使うことなく「気」を取り入れようとした呼吸法です。この歴史は古く、春秋戦国時代の荘子-刻意篇に「吹呴呼吸、吐故納新」と記され登場しています。
呼吸法の流派
以上のように古来呼吸法は重要視されてきました。したがって研究も勢いを増し、これが最も優れているという自薦他薦も山のようにありました。
現代ではその中から絞られてきて、有名な呼吸法としてことあるごとに紹介などされています。
代表的なものは以下のとおりです。
- 二木式複式呼吸法
- 正心調息法
- 西野流呼吸法
- 調和道丹田呼吸法
- 数息観
呼吸法を意識して健康生活
いずれにしても呼吸法を意識しない生活から脱却して、日々自分の体力能力を十分発揮できる素地を作る努力は大事なことで、呼吸そのものが健康に関係していることを知ったほう得です。
正しい呼吸法を行うことで内臓が闊達になり、ひいては疲れにも関係してきます。高い免疫力や自己治癒力が身につくことで風邪をひいても早期に回復できるとか、血流が良くなってお通じも肌も良くなったという実例も数多く存在しています。
なにより、息をすることだけに集中するのですから、お金も時間もかからず普段の通りの生活の中で実行できます。やがて息をすることが「ありがたい」と感じるかもしれません。
まとめ
呼吸法はストレスやダイエットから寿命まで影響する!
呼吸の基本知識
実は大事な「呼吸法」
呼吸法を特に重視する分野
呼吸法の流派
呼吸法を意識して健康生活