コレステロールを下げる 薬 には、HMG-CoA 還元酵素阻害薬、陰イオン交換樹脂、プロブコール、フィブラート系薬、ニコチン酸誘導体、EPA製剤などがあります。
健康診断でLDLコレステロールが140mg/dl以上、HDLコレステロールが40mg/dl未満の場合は脂質異常症と診断され注意が必要です。
コレステロールを下げる薬は何?(前編)
コレステロールについて
コレステロールは脂肪の一種で、脳に多く存在し、全身の細胞膜、性ホルモンやビタミンDなどの成分になります。脂質にはコレステロールのほかに中性脂肪(トリグリセライド)、リン脂質(レシチンなど)、脂肪酸(リノール酸など)などがあります。
コレステロールは血中ではLDL(低密度リポ蛋白)とHDL(高密度リポ蛋白)に含有して、組織や細胞に運ばれます。全身の組織や細胞は、主にこのLDLからコレステロールを取り込みます。
HDLは体細胞で未使用のコレステロールを肝臓へ運ぶリポ蛋白で、HDLコレステロールといいます。LDLが増えすぎて酸化すると血管壁にコレステロールが溜まり(高脂血症)、動脈硬化や脳血栓などが進行します。
肝臓で作られるコレステロールを内因性コレステロールといい、体内総コレステロールの70~80%を占めます。食事をとおして小腸から摂取されるコレステロールを外因性コレステロールといいます。
日本人の平均的な摂取量は約300mg/日で、吸収率は20~80%と個人差があります。特に、食物繊維や植物性ステロールを多く含む食事では吸収されにくくなります。コレステロールは脂肪の多い食生活や糖尿病などで高くなります。
コレステロールや中性脂肪の高い人は脳卒中が起こりにくいといわれています。
脂質異常症(高脂血症)の診断基準は、LDLコレステロール値が140mg/dl以上(高LDLコレステロール血症)か、HDLコレステロール値が40mg/dl未満(低HDLコレステロール血症)です。中性脂肪が150g/dl以上の場合は高中性脂肪血症になります。
従来、総コレステロールが220mg以上を高コレステロール血症としていました。日本動脈硬化学会の新しい診療ガイドラインでは総コレステロール値は考慮されず、高コレステロール血症はLDLコレステロール値が140mg/dl以上としています。
今回は、コレステロールを下げる薬についてお話します。
脂質異常症の場合、LDLコレステロールや中性脂肪を減らす薬、HDLコレステロールを増やす薬が処方されます。
コレステロールを減らす薬には、肝臓でのLDLコレステロール合成を抑制するスタンチン系薬剤などの還元酵素阻害剤、腸での吸収を抑制する陰イオン交換樹脂、小腸からのコレステロール吸収を阻害するコレステロール吸収機構阻害剤があります。
中性脂肪を減らす薬には、肝臓での中性脂肪の合成を抑制するフィブラート系薬剤、中性脂肪の合成を抑え、HDLコレステロールを増やすニコチン酸製剤、肝臓で作られる中性脂肪を抑制するEPAがあります。
コレステロールを改善する薬の副作用として、まれに肝障害や筋肉痛、筋力低下や赤褐色の尿がでる横紋筋融解症などの症状が現れることがあります。
薬の副作用のため、通常は中等度高コレステロール血症、中等度高トリグリセリド血症と診断されない限り処方されないはずです。
まとめ
コレステロールを下げる薬は何?(前編)
コレステロールについて