「骨粗鬆症の薬(前編)」では、代表的な骨粗鬆症の薬としてビスフォスフォネート製剤をご紹介しました。
後編では、 骨粗鬆症 の 薬 として活性型ビタミンD3製剤、選択的エストロゲン受容体調整薬、副甲状腺ホルモン製剤、そして抗RANKLモノクローナル抗体の4種類と、「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年度版」に記載されたそれぞれの薬剤の有効性をご紹介します。
骨粗鬆症の薬(後編)
活性型ビタミンD3製剤
ビタミンDは体内でカルシウム代謝を調節していますが、日本人の多くはビタミンDが欠乏していると言われています。
活性型ビタミンD3製剤も骨粗鬆症に対してよく使用されている内服薬で、カルシウム代謝を改善します。アルファカルシドールは骨密度と椎体・非椎体骨折がB、大腿骨近位部骨折がC、エルデカルシトールは骨密度と椎体骨折がA,非椎体骨折がB、大腿骨近位部骨折はCと評価されています。
副作用として高カルシウム血症が起きることがあり、特にカルシウム製剤と併用する場合は注意が必要です。
選択的エストロゲン受容体調整薬(SERM)
女性にのみ使用される内服薬です。ラロキシフェンとバセドキシフェンの両者ともが骨密度と椎体骨折がA、非椎体骨折がB、大腿骨近位部骨折がCと全く同じ評価になっています。
比較的早期に閉経した女性(60歳未満程度)などで使用されます。副作用として深部静脈血栓症がありますが、稀です。
副甲状腺ホルモン製剤(PTH製剤)
現在使用できる骨粗鬆症治療薬の中で、これだけが骨形成促進作用を有しています。テリパラチドは骨密度、椎体・非椎体骨折でA、大腿骨近位部骨折がCと評価されており、テリパラチド酢酸塩は骨密度と椎体骨折がA、非椎体・大腿骨近位部骨折がCと評価されています。
いずれも注射製剤でテリパラチドが連日、テリパラチド酢酸塩は週1回の注射が必要です。また、投与期間に制限があり、前者は24ヶ月以内、後者は72週間以内に限定されています。
両者とも骨粗鬆症のいわゆる第一選択薬ではなく、上述のビスフォスフォネート製剤やSERMなどの治療でも骨折を生じた方や、骨密度の低下が著しい人への使用が勧められています。
抗RANKLモノクローナル抗体(デノスマブ)
強力な骨吸収抑制作用をもつ注射薬で、骨密度、椎体・非椎体・大腿骨近位部骨折の全てでA評価です。上述のビスフォスフォネート製剤が使用できない(体をおこしたまま維持できない、胃腸障害があるなど)場合に良い適応になります。
6ヶ月に1回の注射が必要です。副作用として低カルシウム血症などがあります。
その他の薬剤
紙面の都合で割愛しましたが、ガイドラインには他にカルシウム薬、女性ホルモン薬、ビタミンK2薬、カルシトニン薬が骨粗鬆症治療薬として記載されています。
まとめ
骨粗鬆症の薬(後編)
活性型ビタミンD3製剤
選択的エストロゲン受容体調整薬(SERM)
副甲状腺ホルモン製剤(PTH製剤)
抗RANKLモノクローナル抗体(デノスマブ)
その他の薬剤