現在たくさんの種類の骨粗鬆症の薬が使用されており、使用方法(内服薬、注射薬)、使用回数(毎日、週1回、月1回など)もさまざまです。
ここでは代表的な 骨粗鬆症 の 薬 としてビスフォスフォネート製剤、活性型ビタミンD3製剤、選択的エストロゲン受容体調整薬、副甲状腺ホルモン製剤、そして抗RANKLモノクローナル抗体の5種類と、「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年度版」に記載されたそれぞれの薬剤の有効性をご紹介します。
骨粗鬆症の薬(前編)
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年度版での評価
骨粗鬆症の薬にはさまざまな種類があります。「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年度版」(以下ガイドラインと略します)では各薬剤についてそれまでは推奨グレードで表記していたものを、3段階の有効性で評価して記載されるようになりました。
一つは骨密度についてA上昇効果がある、B上昇するとの報告がある、C上昇するとの報告はない、と評価されています。
もう一つは骨折発生抑制効果に関するもので、椎体、非椎体、大腿骨近位部の3カ所それぞれについてA抑制する、B抑制するとの報告がある,C抑制するとの報告はない、と評価しています。
以下では代表的な骨粗鬆症治療薬についてこれらの有効性を中心に説明していきます。
ビスフォスフォネート製剤
最もよく使用されている骨粗鬆症の薬剤で、強力な骨吸収抑制作用をもっています。
いくつかの種類があり、アレンドロネートとリセドロネートは骨密度、椎体・非椎体・大腿骨近位部骨折の全ての項目がA、ミノドロネートは骨密度と椎体骨折がA、非椎体と大腿骨近位部骨折がC、イバンドロネート(わが国では注射剤です。上述の他剤は内服薬)は骨密度と椎体骨折がA、非椎体骨折がB、大腿骨近位部骨折がCとガイドラインでは評価されています。
ビスフォスフォネート製剤は服用するときに以下の3点を守ることが大切です。1つめはコップ1杯の水(約180cc)で服用することで、薬を食道にとどまらせずに確実に胃に到達させることが目的です。
もう1点は服用後30分横にならないことで、薬が逆流して食道に戻ることを防ぐためです。薬が食道にとどまると食道炎を起こす危険があるので困るのです。したがって食道の通過障害がある方や座っている姿勢を保持できない人にはビスフォスフォネート製剤を使用することができません。
最後は服用後、少なくとも30分は水以外の飲食をしないことで、薬が体内に吸収されにくくなってしまうからです。ビスフォスフォネート製剤はガイドラインの評価からもわかるように大変よい薬なのですが、内服方法に難点があります。
そのために毎日ではなく週1回や月1回だけ内服すればよいビスフォスフォネート製剤も使用されています。どうしても内服が難しい場合は、注射剤のイバンドロネートが使用されます(月1回)。
後編では、活性型ビタミンD3製剤や選択的エストロゲン受容体調整薬(SERM)、副甲状腺ホルモン製剤(PTH製剤)、抗RANKLモノクローナル抗体(デノスマブ)についてご紹介します。
まとめ
骨粗鬆症の薬(前編)
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年度版での評価
ビスフォスフォネート製剤