高脂血症 (脂質異常症)はLDL・HDLコレステロールやトリグリセライド(中性脂肪)が異常値となる病気です。高脂血症そのものでは自覚症状は出ませんが、動脈硬化性疾患(心筋梗塞・狭心症、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症)の原因になるために治療が必要になる場合があります。
日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年度版」に診断基準や管理目標値が示されています。治療は食事、運動、そして薬物療法です。
高脂血症(前編)
高脂血症とは
高脂血症は血液中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロールのことです)やトリグリセライド(中性脂肪とも呼ばれます)が多すぎたり、HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロールのことです)が少なくなったりする病気です。どれか1項目でも異常であれば、高脂血症です。
ただし2つ、あるいは3つ全てが異常である人も少なくありません。HDLコレステロールは“低い”ことが問題になるので、最近では“高”脂血症とは言わずに脂質異常症と呼ぶことが増えています。高脂血症そのものでは全く自覚症状はなく、痛くも痒くもありません。
しかし長期間高脂血症を放置していると、全身の血管の動脈硬化が進んでいき、最終的には心筋梗塞(心臓へ血液を送る血管が詰まる病気)、狭心症(心臓へ血液を送る血管が狭くなる病気)、脳梗塞(脳へ血液を送る血管が詰まる病気)、さらには閉塞性動脈硬化症(四肢、とくに下肢へ血液を送る血管が狭くなる、あるいは詰まる病気)といった重大な病気(これらはまとめて動脈硬化性疾患と言われています)が起こる原因になります。
なお狭心症や閉塞性動脈硬化症について詳しくは別項を参照してください。
高脂血症の診断基準
日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年度版(以下ガイドラインと略します)」ではLDLコレステロール140mg/dl以上、HDLコレステロール40mg/dl未満、トリグリセライド(中性脂肪)150mg/dl以上が異常と判定されます。
いずれも空腹時に採血したときの値です。特にトリグリセライドは食事によって数値が変動するので、食事をしてから採血した値の解釈には注意が必要です。
なお健診によっては、LDLコレステロールではなく、総コレステロールを測定されている場合があります。この場合のLDLコレステロールは、(総コレステロール)-(HDLコレステロール)-(トリグリセライド)×0.2を計算すると求めることができます。
さらにガイドラインでは、LDLコレステロール値120~139mg/dlを境界域の高LDLコレステロール血症として設定しています。これは、この数値のレベルでも、他の動脈硬化性疾患の危険因子を有している場合については、注意が必要になるからです。
後編では、危険因子について述べていきます。
まとめ
高脂血症(前編)
高脂血症とは
高脂血症の診断基準