口呼吸が習慣化すると、免疫系の病気をはじめ、さまざまな病気や症状の原因になります。しかし、常に鼻で呼吸することを意識し、毎日の簡単なエクササイズによって健康を回復することができるのです。
今回は、 口呼吸 の危険性と、その 治し方 をお伝えします。
口呼吸の危険性と治し方を知り病気予防
口呼吸による体への弊害
口呼吸をすることにより、口の中が乾燥し、常に雑菌が繁殖しやすい状態になります。
口の中で繁殖した雑菌は、喉に入り込み炎症を起したり、消化管に入り込むことにより胃腸に関連する病気を引き起こし、口の渇きによって自律神経のバランスを崩すことにより、結果的に全身の免疫系の異常をもたらしてしまいます。
口を開いた状態では舌の位置が下がり、口呼吸が習慣化することで舌筋の筋力が低下し、口を閉じても舌が正しい位置に収まらず、前歯の裏側と歯肉の堺の部分に当たりあごも動きにくくなります。
そうすると、咀嚼筋(主に咀嚼に関わる筋)や口輪筋(口の周囲を取り囲む筋肉)の力も低下し、口を閉じた状態を維持できなくなることで改善が難しくなります。
口呼吸を治すために
口呼吸を治すため最初に行うことは、口呼吸を無意識にしてしまっているということを自覚して意識的に鼻呼吸を行うことです。
口呼吸になるきっかけはスポーツや喫煙などさまざまですが、最も多いのは「鼻の通りが悪いから」という理由です。「鼻が悪いから口呼吸になる」というのは実は誤りで、「口呼吸によって鼻本来の機能が低下するためつまってしまう」のです。
リラックスしている時は、特に口呼吸になりがちになります。常に鼻呼吸をするよう心掛け、ポカンと開いていないか口元を意識しましょう。意識と行動を変えることによって、体も変わっていくのです。
舌の正しい位置とは
舌の正しい位置は、硬口蓋(口蓋の前方の3分の2を占める部分)に舌の表面全体がぴったりとくっついている状態です。舌が正しい状態にあることで、口腔内の面積が小さくなり上下の歯もしっかり噛み合わさり、唾液の蒸発を防ぐことで免疫の保護をする仕組みになっています。
口呼吸を改善する「あいうべ体操」
口呼吸の治し方として、舌筋、口輪筋、咀嚼筋を鍛えるための簡単なトレーニング「あいうべ体操」をお薦めします。
「あいうべ体操」の行い方
「あー」とできる限り大きく口を開け、「いー」とできる限り大きく口を横に開け、「うー」と思いきり強く口を突き出し、「べー」と舌をできる限り突き出して下に伸ばします。
話をするときよりも、口を大きく動かすことを心掛けて下さい。口の中が乾いてしまうので、声はださずに行う方が良いでしょう。
これを1セットとして、1日30セットを目安に行います。この体操はしっかりと行うと慣れるまでは口元が疲れてしまうかもしれませんので、最初のうちは2~3回に分けて行うと良いでしょう。
顎関節症の人や、口を大きく開けると痛みがある人は、無理をせず、回数を減らすか「いー」「うー」だけを行って下さい。「いー」「うー」は関節に負担がかからないので何回行っても問題ありません。
鼻炎で鼻が詰まっている場合は、晴明(左右の眼頭と鼻の付け根との間)と迎香(左右の小鼻のすぐ横にあるくぼみ)というツボを押すことで一時的に鼻の通りが良くなります。その間に「あいうべ」を行い、繰り返していくことで次第に鼻もつまらなくなっていきます。
また、アロマなど自分の好きな香りを近くに置くことででも、鼻呼吸が自然に促されます。
「あいうべ体操」のさまざまな効果
「あー」「いー」「うー」は口輪筋を鍛える動きです。口輪筋は顔じゅうの筋肉とつながっているため、口の周りだけではなく、ほおやあご、目元など顔中の筋肉を鍛えることになり、小顔効果も期待できるなど美容効果もあります。
「べー」は舌筋が鍛え、舌を正しい位置に引き上げるために大切な動きで、正しい飲み込みができない「異常嚥下癖」を直すのにも有効です。
他にも、舌の位置が改善し睡眠時も鼻呼吸を維持することが出来るため「いびき」を防止し睡眠時無呼吸症候群のリスクも少なくなります。
このように、「あいうべ体操」という口呼吸の治し方を実践することで、口呼吸が改善し、さまざまな効果が期待できるのです。健康の回復と増進のために、是非「あいうべ体操」を習慣にすることをお薦めします。
まとめ
口呼吸の危険性と治し方を知り病気予防
口呼吸による体への弊害
口呼吸を治すために
舌の正しい位置とは
口呼吸を改善する「あいうべ体操」
「あいうべ体操」のさまざまな効果