「狭心症の症状(前編)」では、狭心症のよくある症状についてご紹介しました。後編では、典型的ではない狭心症の症状や不安定狭心症、無症候性心筋虚血についてご紹介致します。
狭心症 の 症状 には個人差がありますが、代表的ではないものの、決して珍しい症状というわけではありません。
狭心症の症状(後編)
典型的ではない狭心症の症状
典型的ではない狭心症(および心筋梗塞)の症状は本当にたくさんあります。“何でもあり”といってもよいくらいです。しかも代表的ではないものの、決して珍しい症状いうわけではありません。
具体的には、背中のしめつけ・圧迫感、歯の痛み・うずき(実際に歯医者を受診する狭心症・心筋梗塞の患者さんがいます)、のどのしめつけ・焼ける感じ、肩こり(特に左肩)、胃の痛み、といった具合です。
ただし労作性狭心症であれば、運動時に出現して、安静時には自然消失する、といった点は典型例と同じです。また基本的に同じ患者さんには同じ症状で出ます。
胸の圧迫感が発作時に出たことがある人は、次の発作時も(強さや持続時間は違うかもしれませんが)やはり胸の圧迫感で気付くでしょうし、肩こりであれば、次回発作も肩こりで起こります。
不安定狭心症
理論上は冠動脈が狭くなればなるほど、より軽い労作で狭心症の症状が出ることになります。
例えば、“これまでは500メートルほど歩くと症状が出ていたが、最近は100メートルも行かないうちに胸がしめつけられる”といった場合は、これまでよりも冠動脈がより狭くなってきている、あるいは詰まりかけていることが疑われます。
また安静にするとこれまでは3分もしないうちに症状がなくなっていたのに最近は10分近く経過しないと回復しない、あるいは発作の頻度が月1回くらいから週に2~3回と増えてきているという場合も要注意です。
さらにこれまでは何ともなかったのに、最近階段を登る途中で胸が苦しくなる、といったように新しく症状を自覚し始めた人もいると思います。
このようなより軽い労作で症状が出現するようになった狭心症や、程度・頻度が悪化している狭心症、そして新しく症状が出現した狭心症は、不安定狭心症と呼ばれ、最悪の場合には心筋梗塞になりかけている場合があります。
すぐに医療機関を受診する必要がありますし、不安定狭心症と診断されると、多くの場合緊急入院となって治療が開始されます。
最近ではこの不安定狭心症は心筋梗塞などとともに“急性冠症候群(英語の頭文字をとってACSとも呼ばれます)”として、心筋梗塞と同様の取り扱いをされるようになっています。
したがって狭心症かな?と思って病院を受診する際にはいつから症状があるのか、発作の誘因・頻度・程度、そして安静にしてから回復するまでの時間をメモしておくと、診察がスムーズに進みます。
無症候性心筋虚血
冠動脈に高度の狭窄が存在するにもかかわらず、全く狭心症の症状を自覚していない人がいることがわかっています。心筋梗塞を起こしていても、まったく自分では気付いていない場合すらあります。
これらを無症候性心筋虚血(むしょうこうせいしんきんきょけつ)と言い、高齢者、女性、そして糖尿病患者に多いとされています。自覚症状がないことは決してよいことではありません。心臓に異変が起きていることを自分では察知することができないからです。
ただし症状が出現しなくても、検査では通常の症状がある狭心症の人と同じように異常が出ますので診断、そして治療することは十分可能です。狭心症の検査については、多項を参照してください。
まとめ
狭心症の症状(後編)
典型的ではない狭心症の症状
不安定狭心症
無症候性心筋虚血