さまざまな病気によりめまいが起こりますが、 めまい 症状と同時に 頭痛 がある場合、小脳出血や小脳梗塞のことがあるために注意が必要です。さらに突然起きためまいや、頭を動かしていない状態で出現しためまいも危険な場合があります。
めまい症状の強さは、原因となっている病気の危険性とは無関係です。
頭痛を合併しためまいは要注意です!
危険なめまい
さまざまな病気でめまい症状が出現しますが、こわいのは脳血管障害(いわゆる脳卒中で、脳出血や脳梗塞などが該当します)を代表とした中枢性めまいと前失神(presyncope)です。
めまい症状と同時に頭痛がある場合、脳出血や脳梗塞を起こしているケースがあるために特に注意が必要です。
めまいは比較的安全な末梢性めまいであることが多いのですが、頭痛もある場合は危険なめまいである確率が増加するために、必ず速やかに医療機関を受診することをおすすめします。
この項では脳出血や脳梗塞などの危険なめまいについて説明します。一般的に高齢者では中枢性めまいの頻度が若年者よりも高くなります。なお前失神や比較的安全なめまいである末梢性めまいについては他項を参照してください。
小脳出血
脳出血は脳のさまざまな部位で起こりますが、小脳(しょうのう)と呼ばれる部分に出血すると60%にめまいが出現します(J Nerv Ment Dis. 1965。以下同じ文献から引用)。
これは小脳がからだのバランスをつかさどるメインの部位だからです。そして小脳出血の70%弱に頭痛が起こります。
他に多い小脳出血の症状としては嘔吐(81%)、体幹・歩行失調(立っている、座っているなどの姿勢の保持や歩行時の体のバランスを保つことが出来ない状態。56%)、構音障害(舌がもつれていつものように話すことができない状態。42%)、傾眠(42%)、錯乱(11%)があります。
脳出血は血圧が高い人に起こりやすい病気です、詳しくは他項をごらんください。なお嘔吐は高頻度ですが、他のめまいでも嘔気や嘔吐を訴える人は非常に多いために、嘔吐をともなうめまいであっても小脳出血であるとは限りません。
小脳梗塞
脳梗塞も脳のさまざまな部位に生じますが、やはり小脳に起こると70%にめまいが起こります(Stroke 1993。以下同じ文献から引用)。そして小脳出血の30%強に頭痛が起こります。
他に多い小脳梗塞の症状としては吐き気・嘔吐(56%)、歩行障害(40%)、構音障害(20%)、耳鳴り(5%)があります。
脳梗塞の危険因子には高血圧、糖尿病、脂質異常症、心房細動(高齢者で頻度が増える不整脈です)喫煙、多量の飲酒、慢性腎臓病、メタボリックシンドローム、睡眠時無呼吸症候群などがあります。
脳梗塞についての詳細は他項で説明しています。
突然起こっためまいも要注意
ここでは頭痛以外の危険な徴候について説明します。突然発症しためまいは危険な場合があります。脳出血や心原性脳塞栓症(脳梗塞の1種で、心臓に生じた血栓が頭に流れて脳梗塞を起こします。詳しくは脳血栓症の項で説明しています)のほとんどが突然に生じる病気だからです。
したがってめまい、頭痛、突然発症の3つ全てがある場合は救急車を呼ぶことも検討するとよいでしょう。
さらに何もしていない、頭を動かしていない状態で出現しためまいにも注意が必要です。頭を動かした状態で生じためまいであれば良性発作性頭位めまい症(他項で詳しく説明しています)などが多く、立ち上がった際に生じたのであれば前失神の可能性が高くなるからです。
めまいの強さは危険度とは無関係
めまい症状が強いと目を開けていることができず、見た目にも非常につらそうであり、またしばしば嘔吐します。しかし、これらの症状の強さは必ずしも危険なめまいであることを意味しません。
たとえば、末梢性めまいに分類される前庭神経炎では比較的強いめまいが3日程度は持続することが知られています。言い換えると、めまい症状が軽い=安全なめまい、ではないことになります。このことは知っておかれとよいかと思います。
まとめ
頭痛を合併しためまいは要注意です!
危険なめまい
小脳出血
小脳梗塞
突然起こっためまいも要注意
めまいの強さは危険度とは無関係