脳梗塞とは脳動脈が一部が狭窄や閉塞を起こす事で血流が阻害され、その部分の脳組織が壊死を起こす病気です。死亡率は近年減少傾向にありますが、一命を取り留めた場合でも麻痺や言語障害など何らかの後遺症を残す場合が多くあります。
また、 脳梗塞 は寝たきりの原因となる病気の第1位にもなっています。その為、病状が安定したら出来るだけ早期に リハビリ を開始し、寝たきり予防や社会復帰を目指す事が重要となってきます。
リハビリの内容は発症からの時期から順に「急性期」「回復期」「維持期」に分けられ、それぞれの時期によって内容が変わってきます。リハビリの目的や内容を時期毎に分けて説明していきたいと思います。
脳梗塞を起こした後のリハビリとは
急性期では「廃用症候群」の予防をはかる
まずは「急性期」のリハビリです。急性期とは脳梗塞が発症してから状態が安定する数週間までの期間のことを言います。状態もまだ不安定な場合も多いので、合併症や血圧の変化に十分に注意しながら行う必要があります。
ここでのリハビリの目的は、寝たきりによる「廃用症候群」の予防をし、回復期のリハビリにスムーズに移行出来るよう準備する時期です。廃用症候群とは、寝たきりによって引き起こされる筋力の低下や骨粗鬆症、心肺機能の低下などを総称したものです。
リハビリの内容は、自分ではベッド上で動く事も困難な場合が多いため最初は他者によって手足の関節を曲げたり、伸ばしたりする他動運動やベッド上でゆっくり寝返る練習をするというような内容です。徐々に慣れてきたら起き上がったり、座るといった練習を行っていきます。
身体機能を出来る限り回復させる「回復期」
「回復期」とは状態が安定してから数カ月から半年くらいまでを言います。回復期のリハビリの目的は、身体機能を回復させ、脳梗塞発症前の機能に出来るだけ近づけるようにする事です。
起き上がったり、座ることが出来るようになったら徐々に立ったり、歩いたりして行動範囲を広げて行きます。それに加え、指先の細かな訓練や衣服を着る、お風呂に入るといった日常生活を送る上で必要な動作の訓練もしていきます。
また、失語や嚥下障害などがある場合は身体のリハビリと併用して言語のリハビリもしていきます。ここでのリハビリで大切なのは、退院してからの日常生活の送り方を想定してリハビリの先生と共に目標を立てながら行うことです。
麻痺が強く、退院後も車椅子や歩行器などが必要な場合は外出の方法や家事のやり方など想定しながらリハビリを行うようにしましょう。
機能低下を予防する「維持期」
維持期とは回復期が過ぎてからの時期のことを言います。回復した機能を維持することや社会復帰を目的にリハビリします。リハビリと言っても、定期的に病院にリハビリに通う場合もありますが、普段の家事や仕事など全てのことがリハビリそのものになります。
家族など介護者の協力も必要ですが、入浴や排泄などの日常生活動作を出来る範囲で自分で行うことが身体の機能低下を防ぎます。手すりを設置するなど住環境を整えることでも行動範囲を拡大することも出来るかもしれません。
行動範囲の拡大は自信にも繋がり精神的にも安定した生活を送ることへ繋がります。また、家族の介助量の軽減をはかることも出来ます。
このように脳梗塞後は合併症の予防や機能改善のため、病状が安定したら出来るだけ早期にリハビリを開始する事が重要になってきます。しかし、病状は脳梗塞の大きさや場所によっても人それぞれ違うので焦らず、医師の指示に従い徐々に行動範囲を拡大していくことが大事です。
まとめ
脳梗塞を起こした後のリハビリとは
急性期では「廃用症候群」の予防をはかる
身体機能を出来る限り回復させる「回復期」
機能低下を予防する「維持期」