これまでのガイドラインが先日改訂され「脳卒中治療ガイドライン2015年度版」として発表されました。 ガイドライン では 脳卒中 一般、脳梗塞・TIA、脳出血、くも膜下出血、無症候性脳血管障害、その他の脳血管障害、そしてリハビリテーションに分けて記述されています。
ここでは脳卒中一般の項に含まれている脳卒中の発症予防、特に危険因子の管理について説明します。
脳卒中の発症予防(脳卒中治療ガイドライン2015年度版より)(前編)
脳卒中治療ガイドライン2015年度版
これまでにも広く使用されてきた「脳卒中治療ガイドライン2009年度版」が改訂され、「2015年度版」として先日協和企画から出版されました(日本脳卒中学会脳卒中ガイドライン委員会編集、以下“ガイドライン”と略します)。
このガイドラインは全337ページからなる膨大なもので、大きく7章に分類して記述されています。
具体的にはⅠ脳卒中一般、Ⅱ脳梗塞・TIA、Ⅲ脳出血、Ⅳくも膜下出血、Ⅴ無症候性脳血管障害、Ⅵその他の脳血管障害、そしてⅦリハビリテーションです。
全てを解説することはできませんので、この項ではⅠ脳卒中一般の中で触れられている脳卒中の発症予防、特に危険因子の管理について説明します。
理由は、脳卒中で死亡するケースが少なくないこと、さらに救命できても重度の後遺症が残る場合も多いために、何よりも予防が重要だからです。
なお「脳卒中治療ガイドライン2015年度版」に記載されている脳梗塞治療の一部を別項で説明しています。興味のある方は参照してください。
推奨グレード
このガイドラインでは推奨の強さ、すなわち“おすすめする程度、もしくはおすすめしない度合い”をA~Dの5段階に分類して表記しています。
グレードA:行うよう強く勧められる、は最も推奨されるもので、以下B:行うよう勧められる、C1:行うことを考慮しても良いが、十分な科学的根拠がない、C2:科学的根拠がないので、勧められない、そしてD:行わないよう勧められる、と続きます。
高血圧
高血圧患者では降圧療法を行うことがグレードAで推奨されています。これは高血圧が脳出血と脳梗塞に共通かつ最大の危険因子だからです。
血圧を下げる目標値としては、140/90mmHg未満にすることがやはりグレードAで勧められています。
糖尿病やタンパク尿を合併している人については130/80mmHg未満、後期高齢者については150/90mmHg未満にそれぞれ目標値を変更することも考慮されるとなっていますが、グレードはC1にとどまります。
高血圧治療薬の選択については、カルシウム拮抗薬、利尿薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)などがグレードAで強く推奨されています。どの薬も日常的に広く使用されている降圧薬です。
後編では、糖尿病や脂質異常症、心房細動の既往がある場合をご紹介致します。
まとめ
脳卒中の発症予防(脳卒中治療ガイドライン2015年度版より)(前編)
脳卒中治療ガイドライン2015年度版
推奨グレード