脳出血は脳卒中の中の1つであり、脳卒中を起こす人の約3割を占めます。昔に比べて脳出血は減少傾向にありますが、生命を脅かす恐ろしい病気の1つには変わりありません。
たとえ一命を取り留めても、後遺症が残る場合も多くあります。この後遺症とは、麻痺や言語障害、意識障害などがありますが、出血の部位や量によって症状も程度も様々です。
ここでは、 脳出血 の主な 後遺症 の症状について説明していきます。
脳出血による後遺症とは
神経が障害されて起こる「運動麻痺」
「麻痺」は脳出血の後遺症と聞いて一番始めに思いつく症状かもしれません。この麻痺は、脳出血によって手足などの運動を支配する神経が障害される事で起こります。麻痺にも様々な種類がありますが、脳出血の場合は身体の縦半分が思うように動かなくなる「片麻痺」を起こす事が非常に多いです。
麻痺は出血部位とは反対側の手足に起こるので、右脳に脳出血が起こると左半分に、左脳に出血が起こると右半分に麻痺が出現します。自分の思うように身体は動くが痺れや痛みが持続する人もいれば、全く麻痺側の身体が動かず座ったり立ちあがる事さえ出来なくなる人もおり、その程度は様々です。
出血の場所によって症状が全く違う「失語症」
脳出血により言葉を話したり、理解できなくなる「失語症」も脳出血の人に多くみられる症状です。失語症には種類があり、話す事は難なく出来るが相手の言っている事が出来ない失語症(ブローカー失語)、他人の言ってる事は理解できるが自分で言いたい事が上手く話せない(ウェルニッケ失語)、意思疎通が全く出来ない全失語などがあります。
これらの症状は出血の部位によって出現しますが、ブローカー失語は優位側の前頭葉、ウェルニッケ失語は優位側の側頭葉で起こります。優位側とは利き手の反対側の大脳半球を指し、右利きの人なら左の大脳半球が優位側となります。
後頭葉が障害されると起こる「視野障害」
大脳の後頭葉が脳出血により障害を受けると視野障害を起こします。これも症状が様々あり、右の後頭葉で脳出血が起きた場合は、出血が起きた反対側の視野が障害されるため、右目も左目も左半分の視野が欠けてしまいます。この症状を「同名半盲」と言います。
脳出血ではこの同名半盲が約2割程度の人にみられますが、脳出血の治療により徐々に回復してくる場合も多いです。脳出血では、この運動麻痺、失語症、視野障害が主な症状と言われています。
広範囲の出血で多くみられる「意識障害」
「意識障害」は出血が広範囲であったり、脳幹や視床下部など意識をつかさどる部分で出血が起こった場合に強く出現します。意識障害は単に意識を失うということではなく、「刺激を与えると覚醒する」「刺激しても覚醒しない」など程度によって重症度を区分します。
また、意識がしっかりしていても自分の名前や場所が分からなかったり、幻覚や錯覚などがみられる場合もあります。
その他の後遺症
その他の後遺症として、衣服が着れなくなるなど今まで当たり前のように出来ていた行動が出来なくなる(失行)や物を見ても何を見ているのか分からない(失認)、記憶障害、認知症など出血の場所によって様々な症状が出現します。
他にも文字が読み書き出来なくなったり、尿意が分からなくなり失禁してしまう事もあります。また、場合によっては情緒や感情をコントロールする事が出来なくなり、不眠やうつ病などの病気を発症する事もあります。
今まで穏やかな性格だった人が、脳出血後に凶暴な性格に豹変してしまったという事も少なくありません。
脳出血を起こした約8割の人には何らかの後遺症が必ず残ると言われています。また寝たきりの大きな原因の1つにもなっているため、このような状態になるのを防ぐ意味でもまずは日常生活や定期健診などで脳出血そのものの予防をしていく事が大切です。
まとめ
脳出血による後遺症とは
神経が障害されて起こる「運動麻痺」
出血の場所によって症状が全く違う「失語症」
後頭葉が障害されると起こる「視野障害」
広範囲の出血で多くみられる「意識障害」
その他の後遺症