脳出血とは脳卒中の1つで、脳血管障害とも言われています。脳卒中の中で虚血性のものに脳梗塞、出血性のものに脳出血とくも膜下出血があります。脳出血とは脳の中の血管が何らかの原因で出血するものです。高血圧が原因で発症することが全体の7割を占めています。
近年は高血圧の治療が進化しているため脳出血になる人も減少傾向にありますが、まだまだ怖い病気の1つです。意識障害、麻痺、言語障害などの後遺症を残すことも多く、出血の場所や程度によっては死に至ることも少なくありません。
また、認知症や寝たきりの原因になることも多いため、症状が安定すると早期にリハビリを開始する事が望まれます。また、早期に適切なリハビリを始めた場合、ある程度まで機能を回復できることが多いと言われています。
ここでは 脳出血 の リハビリ ではどのようなことを行うのかを説明していきたいと思います。
脳出血のリハビリとはどのようなものか
筋力低下や関節の拘縮を防ぐ「急性期」
脳出血のリハビリは急性期・回復期・維持期に分けられます。急性期とは脳出血を起こしてから状態が安定するまでの期間のことを指し、発症を1週間~数週間を言います。脳出血は出来るだけ早期にリハビリを開始することが身体の機能を改善する上で重要となります。
急性期でのリハビリは麻痺や言語などの障害に対するものではなく、寝たきりが続くことによる筋力低下や関節の拘縮を予防することが目的です。治療により長時間寝た状態が続くことで心身機能が低下することを「廃用症候群」と言います。
この廃用症候群を予防することが回復期・維持期のリハビリへスムーズに移行する鍵となります。また、高齢者の寝たきりを予防する上でも重要となります。
ここでは血圧の変化などに注意しながら理学療法士などのリハビリの専門家による足の曲げ伸ばし運動や、ゆっくり寝返りを打つなど簡単なものから開始していきます。状態を見て徐々に自分で身体を動かしていき、可能であれば起き上がりや座位姿勢などの練習もしていきます。
また近年では、運動によるリハビリだけではなく、電気療法や磁気刺激など様々なリハビリが検討されています。
病棟などで歩行練習などを行う「回復期」
病状が安定し急性期を脱出すると回復期のリハビリに移行していきます。回復期とは病状が安定した時期で慢性期とも言われます。回復期では、立ち上がる→歩くなど徐々に活動範囲を広げていきます。
退院後の生活を見据え、医師や理学療法士などと一緒に到達目標を決めてリハビリを行っていきます。食事や着替え、入浴など日常生活で必要な動作の練習も少しずつ行っていきます。
また、身体の機能訓練と同時に言語障害がある場合は発声や飲み込みなどの練習も専門家と一緒に行います。
状態によっては車椅子や杖を使っての生活を余儀なくされる場合や家族の介護が必要な場合もあります。その場合も専門家と一緒に退院後のシュミレーションを入院中に行うことが重要となり、このことが本人・家族の安心へと繋がります。
日常の中で行う「維持期」のリハビリ
維持期とは退院後日常生活の中で行うリハビリのことです。家事や仕事など生活の全ての動作がリハビリそのものとなります。無理のない範囲で家事や仕事を行い、身体機能の維持や合併症の予防に努めるようにします。
必要であれば退院後も病院や通所リハビリテーションに通い専門家と一緒にリハビリを定期的に行う場合もあります。
また麻痺などで手すりが必要であったり、屋内でも車椅子が必要な場合は住宅を改修するなど住環境を整えることが必要となります。退院後に必要な介護用品やリハビリサービスの中には介護保険が適応になる場合もあります。
入院中に医師や看護師に相談し早めに申請し、退院後すぐに使えるように準備しておくと良いでしょう。
まとめ
脳出血のリハビリとはどのようなものか
筋力低下や関節の拘縮を防ぐ「急性期」
病棟などで歩行練習などを行う「回復期」
日常の中で行う「維持期」のリハビリ