尿路結石 は腎臓にできた石が尿管に引っかかることで背部や側腹部痛を生じる病気で、非常に痛みが強い場合や吐き気をともなうこともあります。早朝に痛みが出ることも多く、その場合救急外来で診てもらうことになります。
痛み止めで急場をしのげば、結石は自然に体外に出ることも多いのですが、大きい場合には泌尿器科的な処置が必要になります。痛みがない場合でも、大きな尿路結石をそのまま放置することは危険です。
からだの中に石がある!!尿路結石とはどんな病気?
尿路結石とは
腎臓にできた石(腎結石)が膀胱に動いていく間に尿管の狭い部分に引っかかると痛みを生じます。尿管にある石を尿管結石と言いますが、要は腎結石と尿管結石とは石が存在している部位が異なるだけです。これら腎結石と尿管結石をまとめて尿路結石と呼びます。
結石がとどまる尿管の部位によって痛みの場所は異なり、腎臓や尿管の上部~中間に結石があると背部痛、腰痛、側腹部痛として自覚し、中間~下部の場合には側腹部痛、下腹部痛、鼠径部痛として自覚します。
痛みは非常に強いことも多く、救急車で痛みのためにのたうち回りながら搬送される場合や、吐き気や嘔吐をともなう場合も少なくありません。その一方で特に結石が小さい場合、痛みを自覚しないまま体外に排出されることもあります。
尿路結石の患者数は増加しており、1995年から2005年までの10年間で1.6倍となり、2005年時点では人口10万人に対して患者数は134人であったと報告されています。
また女性と比較して男性に多く(男性は女性の2.4倍)、生涯に尿路結石を生じる割合は男性で7人に1人、女性で15人に1人とされています。
遺伝的な要素や、糖尿病や肥満症などの生活習慣病との関連が想定されており、近年尿路結石の患者数が増加している理由は生活習慣との関係もあるものと考えられています。
尿路結石が起こりやすい時間帯・時期
尿路結石は基本的には泌尿器科が担当する病気ですが、午前3~6時くらいの早朝に痛みが出現することも多いために、救急外来を受診される患者さんの方が多いくらいです。これは夜間睡眠中に脱水傾向になるために尿が濃縮し、結石ができやすくなることが原因と考えられています。
同じ理由で夏場や急に暑くなった日にも尿路結石による痛みで受診するが多いことが知られています。尿路結石そのものは上述のようにポピュラーな、しかも基本的には経過もよい病気です(ただし上記のように痛みで非常につらい思いをすることはあります)。
しかしながら尿路結石と同じような場所に痛みを生じる、尿路結石と誤診されやすい病気がいくつか存在しています。これらについては他項で詳しく説明していますので、是非ごらんください。
尿路結石の治療と自然排石
痛みがある場合は、まず痛み止めにより痛みを軽減させる治療が行われます。特に嘔吐をともなった場合は内服薬ではなく、坐薬や注射薬で痛み止めを使います。
痛みをコントロールしておけば、自然に石は外に出る(自然排石)ことも多いのですが、大きい尿路結石の場合は自然排石が難しい場合があります。
1991年や1992年のJ Urol.誌の報告での自然排石率は上部尿管において径5mm未満なら53%、5mm以上だと0%、中部尿管で5mm未満ならば38%、5mm以上で0%、下部尿管で5mm未満の場合74%、5mm以上で25%が自然排石されると報告されています。
径5mm以上の場合は自然排石が期待できないために、泌尿器科の専門の先生による処置(体外衝撃波結石破砕術など)が必要になります。
自然排石されない大きな尿路結石を放置するのは危険です
痛みがない尿路結石であっても、結石のために尿が下流に流れることができなくなると、尿は尿管内に結石を先頭にしてたまっていき(水尿管(すいにょうかん))、さらにはその上流の腎臓にまで尿がたまります(水腎症(すいじんしょう)。
水腎症になると最悪の場合、腎臓の機能が低下し、腎不全に進行します。また尿がよどんでいる部位にはしばしば細菌が繁殖し、尿路感染症(この病気についての詳細は他項を参照してください)を起こします。
尿路結石をともなう水尿管や水腎症に感染症を生じた場合は、抗生物質だけでは治癒しないことが多く、泌尿器科的な処置を必要とすることがしばしばあります。
まとめ
からだの中に石がある!!尿路結石とはどんな病気?
尿路結石とは
尿路結石が起こりやすい時間帯・時期
尿路結石の治療と自然排石
自然排石されない大きな尿路結石を放置するのは危険です