咳 という症状は外部から侵入しようとする細菌や病原体から体を守る防御機能の1つです。風邪が治ってもいつまでも咳が続くようであれば風邪以外の喘息や肺炎などの別な病気にかかっている証拠です。
呼吸器系の専門の医師による診断が不可欠です。
咳は細菌や異物の侵入を防ぐ防御システムの1つです
咳は肺や気管支を守ってくれます
咳は人間が持っている本能的な防御反応で、ウイルス(細菌)やほこり、煙、食べ物、その他のいろいろな異物が体の中に侵入するのを防ぐ反応のことをいいます。体を守る防御システムの1つを担っていまして、肺や気管、気管支を守っているわけです。
また、咳は気道にたまった痰を排出する機能も持っています。気道の粘膜は線毛という細い毛で覆われ、粘液により守られています。
咳以外の防御システムとは
外部から侵入するウイルスや病原体、各種の異物から消化器官や体の中枢である肺などを守るために咳以外にもさまざまな防御機能を体は持っています。
まず鼻ですが、鼻腔内の粘液や線毛、そしてくしゃみという反射機能があります。
喉では、ワルダイエル咽頭輪という口の中の咽頭部を取り囲むように配列された組織があります。これが外部から侵入しようとするウイルスや病原体を防御しています。
ワルダイエル咽頭輪とは、リンパ咽頭輪ともいいますが、咽頭扁桃、耳管扁桃、口蓋扁桃、舌扁桃の4つの扁桃で構成されています。因みに扁桃とは、咽頭が細菌やウイルスに感染しやすいため、粘膜の下に発達したリンパ組織のことです。
そして、もう1つ肺胞マクロファージという免疫細胞という組織が、前記の防御機能を潜り抜けて肺胞に達したウイルスや細菌を除去してくれます。マクロファージとは、老廃化した自己細胞を細胞内に取り込んで消化処理をして不要なものを片づける掃除人のようなものです。
咳は風邪につきもの
誰でもよく引く風邪って何でしょうか?風邪に咳はつきものです、どうしてでしょう。
口や鼻から空気を取り込んで肺に至る空気の通り道を気道といいます。この内、口や鼻から声帯までを上気道、その先の気管支を下気道といいます。この上気道が炎症を起こした病気が風邪(上気炎症)です。下気道の炎症は気管支炎といいます。
そして気管支のさらに奥にあるのが肺で、肺の炎症が肺炎です。一般的には気管支の炎症まで含めて風邪という場合が多いです。
普通風邪というと感冒のことをいいます。その感冒の原因はウイルスによるもので、ウイルスによって風邪の種類は決まってきます。風邪の種類は、普通の感冒の他にもRSウイルス感染症、インフエウエンザ、SARS、などたくさんあります。
ウイルスが気道に付着して、これを排除しようとして咳がでます。軽度の咳からSARSのように激しい咳を伴うものまで色々あります。
咳とともに鼻水、鼻づまり、痰、喘息、発熱、頭痛、などの症状を伴い、酷い場合は呼吸困難、倦怠感、筋肉痛などを伴う場合もあります。
風邪は治ったが咳が止まらない
風邪の症状の熱や鼻水、関節痛、頭痛も治った、しかし咳だけいつまでも治らない、という場合があります。もともと風邪は、風邪ウイルスによる感染が原因です。通常風邪は1週間くらいで完治します。風邪は治ったにもかかわらず咳だけ続く場合は別の病気を疑わなければなりません。
咳が続く場合は専門の医療機関の診察を受けてください。咳が長く続く場合は咳の原因となるさまざまな病気に罹患している可能性があります。
咳は原因となる病気によって症状の期間が異なります。また痰を伴うかどうかによっても異なってきます。
2~3週間以内
風邪、急性肺炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎など
8週間以上
咳喘息、肺がん、肺結核、アトピー性咳嗽(がいそう)、COPD、胃食道逆流症など。COPDとは日本人にも大変患者数が多い病気で慢性閉塞性肺疾患といいます。
タバコの煙などの有害物質を長期に亘って吸入することによって生じる肺の炎症のことです。1種の肺気腫です。呼吸困難、咳、痰、息切れなどの症状がでます。
湿った咳がでる
気管支炎、副鼻腔炎、肺結核、COPD、肺がんなど。
乾いた咳がでる(から咳)
気胸、過敏性肺炎、咳喘息、胃食道逆流症、マイコプラズマなど。マイコプラズマとはマイコプラズマという微生物(細菌)のことで肺炎球菌に次いで多い細菌です。散発的に流行し、家族内や集団内で感染します。しつこい咳と頑固な発熱(39℃以上)が特徴です。
まとめ
咳は細菌や異物の侵入を防ぐ防御システムの1つです
咳は肺や気管支を守ってくれます
咳以外の防御システムとは
咳は風邪につきもの
風邪は治ったが咳が止まらない