心筋梗塞になると心臓の筋肉の一部が壊死してしまいます。壊死した部分は再生が困難で、その部分は機能低下を起こします。そのため、心筋梗塞で一命を取り留めたとしても、後から何らかの後遺症が出てくる場合があります。
障害を受けた血管の大きさや場所によってもその症状は様々ですが、後遺症にはどのようなものがあるか紹介していきます。このような 後遺症 が出現した際は、 心筋梗塞 の治療に加え薬の内服などの治療が必要になってきます。
心筋梗塞によって起こる後遺症とは
代表的な後遺症「不整脈」
不整脈は、急性の心筋梗塞の大部分でみられる後遺症です。心室性期外収縮や心室頻拍、心室細動などの不整脈が起こります。この中で最も多いのが心室性期外収縮で、心筋梗塞で不整脈を起こす人の半数以上がこれにあたります。
症状としては、脈拍がとんだり、動悸や息切れなどが挙げられます。また一方で心電図の検査では不整脈を示していても、全く自覚症状がない人もいます。不整脈に対しては薬を投与し治療していきます。不整脈の症状があまりに酷い場合は治療としてペースメーカーを挿入する事もあります。
不整脈の次に多い後遺症「心不全」
心不全は心筋梗塞の20~50%の人に起こるといわれています。心不全とは、血液循環でポンプの役割をする心臓のポンプ機能が低下する事で起こる症状です。心臓の役割であるポンプ機能が低下は、心筋梗塞による心筋の一部の壊死が原因で起こります。
心不全になると、全身の血液の循環量が減るため足がむくんだり、動悸、息切れなどの症状が出現します。心不全は、この心筋の壊死した範囲が大きければ大きいほど症状が強く出現し、心筋梗塞の範囲が左室の心筋の半分近くを占めると心不全を起こしやすいです。
治療としては、投薬に加え、カテーテルでの治療をする事が多いようです。以上の2つが心筋梗塞の後遺症では大部分を占めます。
その他の後遺症について
心筋梗塞の広がりが著しい場合、ショックを起こす可能性があります。頻度としては、急性心筋梗塞を起こす人の10%前後の割合だといわれています。意識障害や血圧低下などの症状がみられ、予後は不良とされています。
また、心筋梗塞を起こした人の中には再度心筋梗塞を起こす場合があります。これは、心筋梗塞で塞がった冠動脈をカテーテルなどによって治療した後に再び血流が悪くなって起こるものです。
最初は狭心症としての症状が出ることが多いですが、そこから再梗塞に移行する場合もあるため注意が必要です。これは心筋梗塞の治療が終了し、日常の生活に戻ってから出現する後遺症です。
不摂生な生活を送っている人などは、治療後生活を改めて再梗塞を予防することが大切になってきます。
早期の対応で恐ろしい脳障害を防ぐ
後遺症は心臓だけではなく、脳にも起こる事があります。心筋梗塞を起こすと全身への血液循環が阻害されるため、脳にも血液が行かなくなります。そうすると脳細胞も壊死を起こしてしまい、意識障害や記憶障害などの脳障害を起こしてしまう可能性が高くなります。
心筋梗塞とはある日突然起こります。すぐに病院に行けたらいいですが、救急車を呼んだり時間が多少なりとも掛かってしまいます。この救急車を待ってる間にもどんどん状態は悪化していきますが、周りにいる人たちの対応で脳障害を防ぐ事が出来るかもしれません。では何をすれば良いのでしょうか。
最善の方法は、救急車が来るまで心臓マッサージと人工呼吸です。これを救急車が来るまで止めずに繰り返します。心臓マッサージは意外と体力を使います。周りに数人いる場合は協力して交代で行って下さい。
それでも脈や呼吸が回復しない時はAEDを使用します。現在AEDはコンビニや多くの公共機関に設置されているので、それを使用してください。日頃からAEDの場所はなんとなく頭に入れておくといざという時に役に立つかもしれません。
後遺症がない場合ももちろんあります
ここまで後遺症について述べてきましたが、後遺症は必ず出現するものではありません。心筋梗塞の範囲が小さかったり、早期治療で症状が軽度で治まっていた人では後遺症は出にくいと言われています。
しかし、心筋梗塞後は以前より疲れやすくなる事が多いです。これは心臓のポンプ機能が以前より低下して全身に送る血液の量が減るからです。そのため、激しい運動を行うと血液循環が追い付かず全身の酸素が不足してしまう事があります。治療後は激しい運動などは控え、心臓に負担を掛けないようにして下さい。
また、カテーテル治療でステントを挿入した場合も、ステントの種類によっては再び血管が狭くなってくるものもありますので、治療したからといって油断しないようにして下さい。
まとめ
心筋梗塞によって起こる後遺症とは
代表的な後遺症「不整脈」
不整脈の次に多い後遺症「心不全」
その他の後遺症について
早期の対応で恐ろしい脳障害を防ぐ
後遺症がない場合ももちろんあります