心臓は収縮と拡張を繰り返しますが、その時に極弱いですが活動電流が発生します。その変化を波形として記録するものを「心電図」と言います。この波形の変化で病気を発見する事ができます。心電図の検査は苦痛を伴わず、簡単に行えるため病気の発見の手段として良く使われます。
心筋梗塞でも心電図に異常な波形がみられますが、心筋梗塞の場合、発作と時間の経過に沿って波形が変化していきます。ここでは心電図についてと 心筋梗塞 による 心電図 の変化について説明したいと思います。
心筋梗塞で心電図はどう変化するのか
心電図で何が分かるのか
上記でも述べたように心電図は心臓の電流を記録したものです。この心電図は、それぞれの波をP波、Q波、R波、S波、T波と呼ばれています。では、それぞれの波は何を表わすのでしょうか。
P波は、「心房の興奮」を表し、QRS波は「心室の興奮」を表しています。残りのT波は「心室が興奮から冷める状態」を表しています。心臓が異常を表すと波が上昇したり、波が出現するまでに通常より時間の間隔が開いたりします。
心電図検査では、その異変をみて心臓のどこが悪いのかを調べます。
心筋梗塞を起こした時の心電図の波形は?
心筋梗塞が起こると心電図の波形は、最初にST上昇し、次に異常Q波の出現そして陰性T波が出現します。なぜこのような変化を辿るのかはかなり専門的な知識が必要なため省きますが、簡単にいうと心筋梗塞により心筋がダメージを受け、それにより心臓の電流障害が起きてしまうからです。
このST波の上昇とQ波の出現というのは急性心筋梗塞の特徴であり、病気を診断する上で大きな手掛かりとなります。ちなみにこの波形の変化は、心筋梗塞が発症してから数時間から数日持続します。
ただし、心筋梗塞が心内膜(心臓壁の内側の層)下で梗塞が起きていた場合はQ波が現れず、ST波も下降するので梗塞の見落としに注意が必要である。
梗塞だけではない!合併症でも心電図が変わることが!
心筋梗塞の時、梗塞による心電図の変化以外にもう1つ他の理由が原因で波形が変化する事があります。それが心筋梗塞の重大な合併症の1つである「不整脈」です。心筋梗塞を起こした場合は、梗塞の治療も大事ですが、この不整脈に早期に気付き治療することが非常に大事になってきます。
梗塞による重大な不整脈の中に心室性期外収縮というものがありますが、それを認めると心電図ではQRS波の幅の広がり、P波の消失がみられます。この波形の出現頻度で重症度を7段階(グレード0~グレード5)に分類します。
グレードが3以上になると心臓が小刻みに震え、身体に血液が正常に送れなくなる状態である「心室細動」を誘発する可能性が高くなってくるので早急な処置が必要になってきます。
このように梗塞の治療を行っても合併症の出現の可能性があるため、暫くの間は心電図のモニターを装着し異常の出現がないか監視が必要になります。
リハビリ中にも心電図検査を行います
心筋梗塞が発症して状態が安定した人は退院までリハビリを行います。これを「心臓リハビリテーション」と言いますが、心筋梗塞などで心臓にダメージを受けた人は心臓機能が低下しているため少しずつ運動などの負荷を掛けて体力や自信をつけていきます。
リハビリでは「負荷心電図」といい、身体に負荷を掛けた際に心臓に異常が出現しないかを確認する目的で心電図検査を行います。方法としては、階段の昇降(ツーステップテスト)、動く歩道の上を歩行(トレッドミルテスト)、自転車(エルゴメーター)などがあります。
この検査でST波やQRS波の変化、PQの延長などの異常がないかを確認し、異常がなければ少しずつ運動量を増やしていきます。
まとめ
心筋梗塞で心電図はどう変化するのか
心電図で何が分かるのか
心筋梗塞を起こした時の心電図の波形は?
梗塞だけではない!合併症でも心電図が変わることが!
リハビリ中にも心電図検査を行います