帯状疱疹 治療の基本は抗ウイルス 薬 で、できるだけ発症早期に開始することが理想です。内服でも使用しますが、発熱があるときや、全身に水疱が出現しているときなど重症例では入院の上、点滴で抗ウイルス薬を用います。
NSAIDsの外用薬もよく処方されます。急性期の痛みにはアセトアミノフェンやNSIADs、帯状疱疹後神経痛にはプレガバリンやトラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン配合錠などを使います。
帯状疱疹治療に使われる薬
抗ウイルス薬
帯状疱疹(たいじょうほうしん)は水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus:VZV)が原因となって起こる病気です。したがって抗ウイルス薬(ウイルスの増殖をおさえる薬。)が治療の基本になります。
抗ウイルス薬により帯状疱疹の症状を軽くする、あるいは治るまでの期間を短縮する効果が期待できます。しかし感染している水痘・帯状疱疹ウイルスが既にたくさん増殖してしまっている状態では抗ウイルス薬の効果はあまり期待できません。
そのため発症からできるだけ早期に(遅くとも発症後5日以内)抗ウイルス薬による治療を開始することが望ましいとされています。
帯状疱疹治療での抗ウイルス薬は全身投与で使用され、点滴で用いる場合(点滴薬。アシクロビル、ビタラビン)と飲み薬(内服薬。アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル)で使用する場合があります。
点滴薬は主に入院が必要となる人に対して使用し、内服薬は外来に通院して治療する患者さんで使用されています。
点滴薬、飲み薬のいずれにおいても腎臓の機能が低下している人に通常量を使用すると急激に腎臓の機能が悪化する場合があることに注意が必要で、腎機能が悪い方には通常よりも少ない量で治療を開始する必要があります。
抗ウイルス薬を処方する先生はたいてい腎機能を確認してから薬の量を決定していますが、自分の腎臓の数値が悪いことがわかっている場合は申し出るとよいでしょう。
また、抗ウイルス薬を開始してから3日ぐらいの間は皮疹が拡がっていくことがありますが、必ずしも抗ウイルス薬が効いていないわけではありません。“効果がない”と自己判断して勝手に抗ウイルス薬を中止しないようにしてください。
帯状疱疹で入院になるケース
入院の上、抗ウイルス薬を点滴で使用する帯状疱疹は、基本的に重症帯状疱疹のケースです。
具体的には発熱があるときや、帯状疱疹とともに全身に水疱が出現しているとき(汎発性(はんぱつせい)帯状疱疹。汎発疹とも表記されます。水痘・帯状疱疹ウイルスが血管内に侵入してウイルス血症を起こしている状態です。)などの場合です。
他には痛みが強いときや、帯状疱疹が顔面に生じている場合にも入院が考慮されます。帯状疱疹が重症化するリスクをもっている患者さんも入院して抗ウイルス薬を点滴することがあります。
具体的には80歳以上の高齢者や、免疫を抑える薬を使用している人(膠原病(こうげんびょう)などでステロイドや免疫抑制薬が普段から処方されている人)や病気により免疫力が低下している人(HIV感染症など)があてはまります。
外用薬
外用薬(塗り薬)としてNSAIDs(エヌセイズ)軟膏がよく使用されます。NSAIDsは炎症を抑えるとともに痛みを軽減する効果がある薬剤です。
抗ウイルス作用のある外用薬も存在しますが、上述したように帯状疱疹では抗ウイルス薬は全身投与(点滴か内服)で使用され、外用では使用しない場合がほとんどです。ちなみに全身投与に対して、外用薬の投与を局所投与と呼びます。
痛み止め
帯状疱疹の急性期に痛みがあるときはアセトアミノフェンやNSIADsなどが処方されます。アセトアミノフェンは肝機能障害、NSAIDsは腎機能障害を起こすリスクがあります。
多くの場合、痛みは発疹の治癒と同時期になくなりますが、約3%は帯状疱疹の発疹が治まった後でも痛みが持続し、非常に強い痛みに悩まされるケースもあります。
帯状疱疹後神経痛(postherpetic neuralgia:PNH)と呼ばれるもので高齢者に多いとされています。アセトアミノフェンやNSAIDsでは十分に痛みをとることが難しく、プレガバリンやトラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン配合錠などの薬剤が使用されます。
ただしそれでもなかなか痛みが減少しないことも少なくありません。帯状疱疹後神経痛を予防するためにも帯状疱疹発症早期に抗ウイルス薬を始めることが重要です。
まとめ
帯状疱疹治療に使われる薬
帯状疱疹で入院になるケース
外用薬
補足
痛み止め